住田町長選/新人・神田氏が初当選組織生かし激戦制す

▲ 当選を確認し、バンザイをする神田氏㊥と総括責任者の泉氏㊨ら=下有住の選挙事務所で

 任期満了に伴う住田町長選は23日、町内17カ所で投票が行われた。即日開票の結果、無所属新人の獣医師・神田謙一氏(58)=下有住=が、無所属新人の農業・水野英哉氏(61)=上有住=を144票差で破り、初当選を飾った。神田氏は後援会活動による支持基盤固めが水野氏陣営よりも先行した中で「医・食・住」の充実を強調。長年地元畜産業にかかわってきた経験などから期待を集め、幅広く浸透した。水野氏は町議会議長や地域活動による多彩な経験、実績を強調したが、有権者が多い世田米で主導権を握れなかった。投票率は81・60%で、競争選挙となった前々回選を0・54ポイント下回った。

 

144票差、水野氏届かず/投票率は81・60%

 

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 この日は雨が続いたが、各投票所では朝から傘を手にした有権者が続々と訪れ、持続可能なまちづくりを見据えて一票を投じた。制度理解が広がった期日前投票は19〜22日に行われ、全有権者の15・6%にあたる786人が行った。
 投票は午後6時で締め切られ、同7時30分から世田米の社会体育館で開票作業が行われた。会場では各候補の得票が100票ごとに確認され次第、ステージ上の掲示物にシールが貼られていった。その様子は、町内各世帯で視聴できる住田テレビで生中継された。
 開票は50分ほどで終了。最終確定票は神田氏2103票、水野氏1959票となり、神田氏の初当選が決まった。
 神田氏は、昨年12月に出馬表明。今年1月に発足した後援会「神田謙一と明日の住田を創る会」(泉金一会長)には、親族や下有住地区住民にとどまらず、町議11人中6人、多田氏の後援会幹部や事業所代表者、元町議らも名を連ねた。
 表明以降、住民の「医・食・住」の充実を訴えてきた神田氏。企業経営にかかわってきた人脈、経験から着実に支持を広げ、選挙初挑戦で知名度不足の逆境を跳ね返した。
 一方、水野氏は今年4月に出馬表明。町議時代からの後援組織は5月に「水野ひでや後援会」(吉田倎会長)と改称し、町内全域の支部体制を整えた。
 20代からの多彩な青年団活動や町議会議長を務める中で培った経験、人脈を強みとし、前哨戦では知名度を生かした地域回りを重視。一方で、支持固めで先行を許した神田陣営からの切り崩しは厳しく、浮動層が多いとされた世田米でも優位に持ち込めなかった。
 神田氏と、18日告示の町議会議員補欠選挙で無投票当選した荻原勝氏(57)に対する当選証書付与式は、24日午前10時から町役場で行われる。
 【神田謙一氏の略歴】
 下有住出身。日本獣医畜産大学大学院修士課程修了。昭和59年に住田町農協入組。合併した陸前高田市農協を経て、平成19年住田フーズ㈱取締役生産部長。24年常務取締役に就き、今年6月退任。58歳。下有住字中上128。

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