町や事業体に厳しい声、三木・ランバー問題で住田町が住民説明会

▲ 初日から厳しい指摘が相次いだ説明会=下有住地区公民館

 住田町は24日夜から、三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)に関する住民説明会を始めた。町は、両事業体への融資残額や町有林原木未納額など約10億7700万円の支払いを求め、両事業体や連帯保証人を相手に調停手続きを進めている。住民からは「議会議決よりも先に、住民説明を行うべきだったのでは」「事業体からおわびの言葉や、今後の経営方針は示されないのか」と、厳しい意見が相次いだ。
 11日の町議会臨時会では、両事業体と連帯保証人の25個人・団体に対して調停を申し立てる議案が可決された。厳しい経営状況が続く中、両事業体はこれまで計画通りの返済ができていない。町側は債務整理を図り、同じく木工団地を構成するけせんプレカット協同組合(プレカット)との一体経営への道筋をつくる狙いがある。
 説明会は債権回収の対応について、意見を求めようと地区ごとに開催。初日は下有住地区公民館で開かれ、約30人が出席した。町議や地区外在住者の姿も多く、昨秋行った両事業体の経営状況に関する説明会時に比べ、出席者数は2倍以上となった。
 説明によると、平成18年4月、19年10月、20年1月に両事業体に合わせて7億9000万円を融資したが、本年度以降分の償還計画分も含めた残額は7億8323万円(未払利息・違約金除く)。さらに集成材加工施設賃借料は6829万円、19年~27年度の町有林原木未納額は2億2584万円に上る。
 町側は、町最大の資源である森林に付加価値を生み出して発展させるために、両事業体を継続させて対外的信頼を確保し、雇用を守りながら経済活動の失速を防がなければいけないと強調。昨秋の住民説明会などでも、事業継続の意向が確認できたとした。
 町債権とは別に、両事業体による金融機関からの借入金は約3億円ある。多田欣一町長は、プレカットがこの債務を背負い、両事業体の運営を担っていく姿勢を見せていることを明らかにした。
 住民の一人は「議会で決まったことで意見を聞いても仕方がない」と発言し、住民側に動向を十分に示さなかったとして町議も含めて批判。そのうえで「今回の調停は非常に不満。事業体に借金を返そうという意識がないとだめ」と語った。
 また、昨秋の説明会と同様に「なぜ事業体の理事者が1人も出てきていないのか。おわびをして、再建方法を示すべき」「理事を連れてくるのも、町長の仕事」との声も。
 これに対して、多田町長は「出席の打診はしたが、理事者に当事者意識が薄い」としたうえで、債権整理後は全理事には退陣してほしいとの意向を示した。今後の説明会には出席できるか、再度打診する姿勢も示した。
 今後の債権方針については「プレカットもそれほど大きな利益を出しているわけではない。三つが一緒になって、すべてなくなることもあるのでは」と不安を寄せる住民も。「(融資償還を)据え置きにして、とにかく払えるようにしていく方法もあるのでは」との発言もあった。
 このほか「親が子どもに金を貸すような、甘い対応ではなかったのか」と、これまでの町と事業体との関係を追及する意見も。町長への責任を問う声に対して、8月4日(金)で任期を終える多田町長は「道義的責任はあると感じている。新しい町長から相談があれば、意見を出したり、知恵を出し合ったりしたいと思う」と答えていた。
 25日夜には、大股地区公民館で説明会を開催。26日は五葉地区同、27日は上有住地区同、28日は住田町役場町民ホールで開かれ、開催時間はいずれも午後7時から。