新庁舎の整備方針案示す、当局が市議会全協で/陸前高田

▲ 新庁舎の完成イメージ図

 陸前高田市議会(伊藤明彦議長)の全員協議会は24日、議場で開かれ、当局が新庁舎の整備方針案について説明した。本年度は基本設計と市民説明、パブリックコメントの募集を行い、平成30年度に実施設計を策定する方針が示された。完成は32年度内を目指し、33年度当初の供用開始を予定。建設イメージについては、6月定例会前に市が議会に提示した案から大きな変更点はなかった。

 

盛土はTP17㍍、地上7階建て

 

 当局は協議報告事項として、▽市まちづくり総合計画策定指針▽29年度岩手県に対する要望の実施▽新庁舎整備方針(案)▽東日本大震災復興交付金事業▽事業継続計画▽西側地区統合中学校の学校名──の6点について説明した。
 新庁舎整備方針は、市議会6月定例会で庁舎位置が高田小学校跡地(高田町字下和野1番地)に決まったことを受けて示されたもの。「多様化する市民ニーズに柔軟に対応し、一層の住民サービスを図る施設の整備を目指す」を基本方針に、①誰にもやさしい、利用しやすい庁舎②災害時における行政機能の継続③地球環境に配慮した庁舎④長期的な対応(施設管理による施設の長寿化、行政需要の変化に合わせた対応等)──を掲げた。
 敷地面積は約1万2000平方㍍。区画整理事業により、敷地は現在のTP(東京湾海面平均)12・0㍍から、17㍍にかさ上げ盛土を行う。施設の延床面積は5500平方㍍、鉄筋コンクリート造の地上7階とする。駐車台数は来客用80台、公用車用50台、職員用40台の計170台(うち身障者用6台、バス2台、マイクロバス2台)とし、職員駐車場の不足分は近隣に別途確保する。
 庁舎には、▽市民サービス機能(総合案内窓口や車いす用のローカウンターといった窓口機能、市民相談スペースやATM、自動販売機、売店など)▽市民活動・交流機能(多目的交流スペース、研修・会議室、市の情報・資料コーナー)▽議会機能(議場、委員会室、議員控室、議会事務局等、傍聴スペース)▽行政機能(執務・打ち合わせスペース、会議室、電子情報管理室、入室管理など)▽災害対策機能(災害対応会議室、防災設備等、非常用電源設備、飲料用貯水槽、防災備蓄など)▽ノーマライゼーション機能(スロープ、授乳スペース、オストメイトを含む多機能トイレ、多言語誘導サインなど)──の六つの機能を導入する。
 概算事業費は約50億円で、当初の試算より約4億円減額した。財源内訳(予定)は、震災復興特別交付税が約21億円、被災施設復旧関連事業債が約27億円(うち、元利償還金に係る市負担額約8億円)、一般財源は約2億円。市の負担は合わせて10億円ほどとなる。
 当局はこれまで示してきた通り、国の復興・創生期間が終了する32年度内の事業完了を目指したスケジュールを設定。現在、発注準備中の基本設計については29年度末、実施設計(積算含む)は30年度末までに策定する。
 また、29年10~11月には、設計概要について市民へ説明し、30年2月に市民から基本設計に基づくパブリックコメントを受け付けるとしている。
 同日は、全員協議会の前に臨時議会が開かれ、米崎町・脇ノ沢漁港中防波堤災害復旧工事と、市立気仙小学校新築工事の請負契約締結についての2議案を原案通り可決した。
 防波堤復旧工事は㈱明和土木が工事を請け負い、契約金額は2億757万6000円。気仙小の契約金額は19億6225万2000円で、㈱佐武建設が請け負う。