市内での看護学部実習検討、北里大三陸C活用検討協で/大船渡

▲ 本年度の地域連携事業計画などを決めた協議会=三陸臨海教育研究センター

市民講座の協議で提案


 北里大学と大船渡市の各種団体代表者らで構成する同大学三陸キャンパス活用検討協議会(会長・伊藤智夫同大学学長、委員23人)は26日、三陸町越喜来の同大学海洋生命科学部付属三陸臨海教育研究センター(SERC)で開かれた。大学側は本年度の公開市民講座にかかる協議で、看護学部が市内での実習を検討していると公表。これを受け、同学部と連携して講座を行う方針を申し合わせた。
 同協議会は東日本大震災後、相模原に学部機能を移して平成26年度からSERCとなった同キャンパスの利活用を検討する機関。大学と地元関係者で25年に組織され、本年度からは市などによる同キャンパス早期再開促進期成同盟会と組織・機能を一本化した。
 1年ぶり、通算5回目の開催となったこの日は、同大学、市、県の各委員15人が出席。伊藤学長は「将来的には全国、世界から教育研究者、学生が集い、研究できる場所になればと夢見ている。課題も山積しているが、皆さんの協力を受けて努力していきたい」とあいさつ。戸田公明市長は「市政発展に向け、重要な課題を担うセンターの隆盛へ尽力をお願いしたい」と述べた。
 協議では、▽同協議会設置要領の一部改正▽北里大学の地域連携事業の実績と計画▽29年度公開市民講座の実施について──を審議。いずれも原案通り決めた。
 地域連携事業では本年度、海洋実習、水産加工実習室を活用した体験実習、市内企業などと連携した共同研究、市や県の依頼による受託研究などを計画。海洋実習(三陸コース)は海洋生命科学部1~3次生を対象に8月3日(木)~12日(土)の間、4グループ合計131人が参加を予定しており、本年度は新たに越喜来漁協の協力を受けてホタテガイ養殖施設の見学なども行う。
 公開市民講座はこれまで、海洋生命科学部にちなんだテーマで実施。昨年は、アブドラ国王科学技術大学(サウジアラビア)との共催による国際シンポジウムとして開催した。
 本年度の実施について、大学側は「海洋生命科学部だけではなく、ほかの学部にもお願いできないかと考えている。特に看護学部があと何年か先に大船渡で看護実習を検討しており、本年度の講座を引き受ける方向になっている。看護学部にお願いしてよろしいか」と提案。委員らから反対意見はなく、看護学部と市が協議し、テーマや実施時期などの詳細を詰めていくこととした。
 大学側は看護学部の実習に関し、相模原では受け入れ人数が制限されていることから、大船渡市と獣医学部がある秋田県十和田市での実施を検討している段階という。時期や受け入れ規模などは未定。具体的な協議を今後、市や病院関係者らと進めていきたいとしている。
 ほかに委員からは、「客船来港時の乗船客向けツアーに組み込んだり、地元高校との連携を」といったセンター活用策への提言や、「震災前に学生たちが住んでいたアパートの利用も検討してほしい」といった要望が出された。