行政拠点の安全確保へ、建設から47年の市役所本庁舎で耐震改修工事/大船渡
平成29年7月27日付 1面

大船渡市は建設から47年が経過した市役所本庁舎施設について、来年3月まで耐震改修工事を行う。増築棟を除く事務棟と議会棟を対象に、補強ブレースと耐震スリットを設置し、市行政の拠点、災害時の対策本部となる本庁舎の安全確保を図る。市は工事期間中の庁舎利用に関し、市民や来庁者に理解と協力を求めている。
補強ブレースなど設置
工期は来年3月まで
盛町字宇津野沢にある市役所本庁舎の事務棟と議会棟は、昭和45年に建設。構造はRC造、地下1階・地上3階・塔屋2階建てで、延床面積は5230平方㍍。その後、平成3年に市教育委員会事務局などが入る増築棟(鉄骨造2階建て、同1503平方㍍)が設けられた。
事務棟と議会棟は建設から47年が経過し、老朽化が進む。平成23年の東日本大震災では施設の躯体に異常はなかったものの、内壁のモルタル部分に若干のひびが入るなどの被害があったという。
両棟は昭和56年以前に建設された旧耐震基準建物であり、県は要安全施設と位置付け。これを受け、市は27年度に耐震診断を実施した。
建物の壁の量や形状から算出されるIs値(構造耐震指標値)は、事務棟の最も低いところが0・32、議会棟は0・53と、いずれも基準値の0・6を下回った。本庁舎は市にとって行政、災害対策の拠点であり、何よりも市民や職員らが安全に利用できるようにするため、耐震改修工事を行うこととした。
設計は㈱髙橋設計、施工は㈱匠建設が担い、事業費は8424万円。設計は28年度に終了している。
工期は今月1日~30年3月27日。事務棟、議会棟の1階部分の外側に補強ブレースを新設し、建物を固定して耐震性を高める。2、3階部分には柱と壁の間に耐震スリットを入れ、揺れに対して柔軟な構造にする。
補強ブレースは事務棟に3カ所、議会棟に4カ所、耐震スリットは事務棟と議会棟それぞれに46カ所ずつ設置。いずれも外側からの工事となり、議会棟の裏手にあたる東側から2面ずつ、南側、西側、北側と順に実施していく。足場を設置してから耐震スリットを入れ、足場撤去後にブレースを組み立て、取り付ける手順で行う。
工事は土、日曜日を中心に実施することとし、現場はバリケードを設けて関係者以外は立ち入り禁止とする。駐車場への影響はなく、これまで通り利用できる。
市財政課は「工事期間中は、市民や利用者の方々の理解と協力をお願いしたい」と呼びかけ。市の広報やホームページでも周知を図っている。