まちに華やかな〝輪〟戻る、チャオチャオ道中踊りに300人/陸前高田市
平成29年7月30日付 8面

震災前、陸前高田市における〝夏前半〟の風物詩であった「チャオチャオ陸前高田道中おどり」は29日夜、平成22年以来7年ぶりに開催された。高田町のかさ上げ地に整備された新しい中心市街地で、およそ300人による総踊りの輪がにぎやかに形成された。
震災後初開催
『チャオチャオ陸前高田』は同7年、市制施行40周年を記念して制作されたイメージソング。道中おどりは、同曲をはじめとした「手踊り」を披露する場として翌年スタートし、JR陸前高田駅前の通りをメーン会場に実施されてきた。地域の女性会や自治会、事業所などの単位でおよそ2000人規模の踊り手が参加し、ゆかた姿の女性たちが通りを埋め尽くす光景は圧巻だった。
同市では毎夏、7月に実施される「お天王さま」と道中おどりが〝前半〟の、8月7日の七夕まつりを〝後半〟の一大イベントとし、市民らが開催を心待ちにしていた。震災後も、お天王さまの神輿渡御や七夕は開催規模を縮小しながらも継続されてきたが、チャオチャオ陸前高田道中おどりは23年以降中断。市観光物産協会(金野靖彦会長)などへは再開を希望する声も寄せられていた一方、「まだそんな気持ちになれない」という被災者もいたことから、これまで開催が見送られてきた経緯がある。
しかし、発災から6年以上が経過し、高田町に新しい「まちなか」が生まれつつあることや、震災犠牲者への慰霊の意味を込めて「復興へ向け、頑張っているよ」という姿を天へ届けようという思いから、同協会が中心となって〝復活〟を計画。市と陸前高田商工会(伊東孝会長)が共催し、7年ぶりの開催が実現した。
同日は午後6時30分の開会セレモニー後、同40分から第1部を開始。チャオチャオのほか、『高田音頭』『寄さこい見さこい陸前高田』の3曲を30分にわたり繰り返した。会場は、アバッセたかたに併設される市立図書館の脇、本丸公園通りを中心とした路上。およそ300㍍にわたって歩行者天国の措置がとられ、通り沿いには見物客の姿が多く見られた。
出演したのは、災害公営住宅・中田団地自治会(高田町)と、下和野団地(同)の住民、市役所厚生会、岩手高齢協すずらん、たかた☆ハッピー♪ウェーヴ、陸前高田商工会女性部、市地域女性団体協議会、横田女性団体、市芸術文化協会舞踊部門、FMねまらいん──の10団体、およそ300人。
震災前の規模にはおよばないが、災害公営住宅単位で参加を決め、ともに練習するなど、まつりの復活が、新たに生まれたコミュニティーの結びつきを強める役割も果たしている。会場には団地に入居する高齢者たちの姿もあり、観客として仲間たちの踊りを見守った。
休憩時間中には、震災後に誕生した楽曲『陸前高田・しあわせ音頭』と『陸前高田の松の木』のお披露目も。第2部では再び道中おどりが繰り広げられ、ゆかたやそろいの衣装を身に着けた出演者たちが、夜の闇に包まれつつある新しいまちなかを華やかに輝かせていた。
新しい中心市街地で繰り広げられた道中おどり=高田町