ILC誘致に向けて、議員連盟が初の研修会/大船渡市議会

▲ 市議会のILC誘致推進議員連盟が初の研修会を開催=大船渡市役所

 大船渡市議会の国際リニアコライダー(ILC)誘致推進議員連盟(会長・熊谷昭浩議長)は2日、同市役所で研修会を開催した。県理事兼政策地域部科学ILC推進室長の佐々木淳氏による講演が行われ、議員らは北上山地へのILC誘致実現に向けてより知識を深め、活動の広がりに生かしていこうと誓い合った。

 議員連盟はILCの誘致を実現させ、大船渡港の活用や道路等のインフラ整備の促進、交流人口の増大や産業・雇用の創出などによる地域の経済発展、活性化を図ろうと、6月に設立。研修会は、設立後初めての活動となった。
 この日は、議員や市職員ら40人余りが出席。副会長の紀室若男副議長のあいさつ、講師紹介に続き、講演に入った。
 佐々木氏は「ILC(国際リニアコライダー)の実現に向けて」と題し、ILCの概要をはじめ、取り巻く状況、地域振興とのかかわりなどを解説した。
 ILCは、巨大な実験装置を有する世界最先端の素粒子研究施設。国内建設候補地には岩手、宮城両県にまたがる北上山地が挙がっており、今年末から平成30年にかけて国が誘致に関する最終判断を行うとみられている。
 佐々木氏はILCの役割について「宇宙誕生(ビッグバン)直後の状態を再現する大型装置」と説明。「人類が謎とする基本的なところを解明しようという施設」と述べた。
 今後のスケジュール、建設費や経済効果、国をはじめとした関係機関の動きも紹介。
 このうち、誘致が実現した場合のスケジュールについては「いろいろと言われているが、今の想定では東京オリンピックが終わるころからちょうど工事にかかるイメージとなっている」との見解を示した。
 ILCに用いる測定器などの機器や部品は、おもに海外から輸送される。佐々木氏は北上山地から大船渡港が近い位置にあり、港湾の活用が期待されることにも言及した。
 最後に、「ILCそのものは純粋科学の研究施設だが、それに伴う技術や人との動きは大いなる可能性を秘めており、仕掛け次第で変わりうる。地域のポテンシャルや良さ、弱さをどうとらえて生かしていくか、知恵の出しどころとなる。岩手に住み、その良さを分かってもらう仕組みもつくっていければ」と、誘致推進への協力を呼びかけた。
 講演後は質疑も行われ、議員らは改めて今後のスケジュールや港湾利用のあり方、内陸部へのアクセス道路の整備、建設費の負担などについて質問。連盟としての今後の取り組みを考える機会にもしていた。