統合案巡り多様な意見、5地区で学校適正規模等計画代表者説明会/大船渡市

 大船渡市教育委員会は8日までの5日間、市内5地区の地域代表者らを対象とした「市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画説明会」を開いた。具体的な統合案も盛り込んだ計画内容に対し、参加者からは多様な意見が寄せられた。5月から各地で開催してきた地元説明会は、今回をもって終了。市教委は秋ごろをめどに各地区で協議組織を設置し、統合の可否を議論していく。
 基本計画は、市内小中学校の適正規模・適正配置に関する取り組みを実践的に進めるもの。説明会は、学校の適正配置の必要性などに関して市民の理解と協力を得ようと、地域住民、小中学生と未就学児の保護者を対象に開催してきた。
 この中で「地区内の各種団体代表に対する説明機会を設けてほしい」との要望があり、地域代表者等説明会を計画。統合検討対象校がある地区のうち、綾里、吉浜、大船渡、日頃市、越喜来の5地区で先月28日から順次開かれた。
 各会場には、地区公民館運営委員会のメンバーや地域公民館長らが出席。5地区を合わせた参加人数は79人で、最多は日頃市の25人、最少は大船渡の9人だった。
 市教委からは今野洋二教育長、志田努学校統合推進室長らが出席。計画内容を説明後、参加者から質問、意見を求めた。
 この中で、統合案に対して明確に賛成する考えが示されたのは、大船渡と越喜来。
 このうち、越喜来では「統合した方がいいと思うが、(保護者といった)直接かかわる人たちが声を上げた方がいい」「父母らに早く統合に向け、手を挙げさせるべき」との意見があった。
 一方、綾里、吉浜、日頃市では「統合されれば過疎化が進むのでは」「小中学校がなくなった地域に子育て世代が来てくれるのか」「学校がなくなったら地域の伝承活動が途切れてしまうのでは」と、統合後の地域の行方を憂慮する声も。「統合しても地域活性化が図られる、夢のある提案をしてほしい」との要望もあった。
 また、賛否は示さないながらも、統合する場合に行う学校同士の交流、スクールバスの運行時間やルート設定、受け入れ先となる学校の教室数、放課後学童クラブの存続など、各地で統合を前提とした質問、要望があった。
 大船渡では、大船渡、大船渡北両小学校の統合案について、統合後の校舎位置を巡って意見を交換。市教委は統合後、津波で浸水した大小校舎の使用を提案しているが、参加者からは「大小の位置ではなく、安全で安心して通える一角に校舎を新築しては」「避難路ができれば通学しやすい」「地元とすれば北小を利用してほしい」などと考えを寄せた。
 今野教育長は5地区での説明会に対し、「大局的に判断してくださったと受け止めている。地域コミュニティーがどうなっていくか、子どもたちをどのような環境で育てていくか、整理された中で考えてくれたと思う」と振り返り、「今後は提示された不安や課題が解消できるよう、具体的なデータや考えを示し、統合可否の判断をしてもらいたい」と話していた。
 市教委は9月下旬~10月上旬に、統合検討対象校がある地区で統合の可否を協議する組織(地元関係団体の代表者らで構成)を設置する計画。統合に向けた方向性が固まった場合は、受け入れ先の学校がある地区でも協議組織を設けて合意形成を図っていくこととなる。