権現様などが「にわかり」、市内外の9団体熱演/大船渡・三陸国際芸術祭2日目 (動画、別写真あり)

▲ 「にわかり」で商売繁盛などを願って演舞する地元の地ノ森権現=大船渡町

 大船渡市大船渡町のJR大船渡駅周辺地区を会場とした「三陸国際芸術祭2017」は2日目の12日も、多彩な芸術を体感できるプログラムを展開した。このうち、新中心市街地のまちびらきを祝う「にわかり」には、国内外から権現舞などの9団体が出演。参加者らは新たなまちの発展を願いながら熱演を見せ、地域を越えた交流も深め合った。

 

まちの発展を願い交流

 

 同芸術祭は、三陸沿岸の生活に根付いた郷土芸能の価値を世界に発信し、交流の輪を広げようと、NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワークなどが主催。メインプログラムは11、12の両日開かれた。
 2日目に行われた「にわかり」は、芸能団体が庭先などを借りて祝事や厄払いを行うもので、門打ち、門付けとも呼ばれる。今回は、4月に新商業施設が開業した中心市街地の発展や商売繁盛などを願う目的に加え、気仙の権現舞団体が交流と活性化を図ろうと設立した「権現舞・獅子舞系連絡発足準備会」が連絡会発足を目指す活動にも位置づけた。
 地ノ森権現(大船渡町)、小細浦熊野大権現(末崎町)、女川港大漁獅子舞まむし(宮城県)、鮫神楽(青森県)、チルボン仮面舞踊(インドネシア)、バジャウ族伝統舞踊(マレーシア)、大船トリ子(滋賀県)、まだこばやし(東京都)、大東京舞踊団(同)の9団体、総勢約200人が参加。
 大船渡地区公民館での出発式後、町内の店舗や災害公営住宅を回り、キャッセン大船渡で合流する計画だったが、雨天のために変更。同館で交流会を開き、市内の2団体がマイヤ大船渡店で権現舞を披露した。
 交流会では、同祭プログラムディレクターの前川十之朗氏が「権現様を通じてアジアを一つにし、教え合い、交流する機会としたい。点としてではなく、つながる出発式になれば」とあいさつ。小細浦を皮切りに、各団体が芸能を披露した。
 いずれの団体も、迫力や美しさを感じる演舞、パフォーマンスを展開。権現舞の披露では権現様が観客の頭をかみ、家内安全や健康を祈願する光景が広がった。
 地ノ森権現に出演した及川永遠君(大船渡中3年)は「緊張したし、久しぶりだったので間違えないように心がけた。ほかの団体の踊りには激しい動きのものもあり、すごいなぁと感じた。これからももっとうまくなるよう頑張っていきたい」と振り返った。
 小細浦地域公民館の菅原千秋館長(68)は「若い人たちとこうした行事に参加することは、子どものためにも意義あることで、このような取り組みは必要だと思う。少子高齢化で大変な面もあるが、五年祭と正月の悪魔払いは継続していきたい」と話していた。