生まれ育った誇り胸に、成人式で39人の門出祝福/住田町(動画、別写真あり)

▲ 木造庁舎と緑豊かな山林を背に、飛躍を誓った新成人たち=住田町役場前

 住田町の平成29年度成人式は13日、町役場で開かれた。今年も県内のトップを切る夏開催で、39人の門出を祝福。一人ずつ名前が呼ばれた新成人は、多くの町関係者や恩師が見守る中を歩き、社会の一員としての意識を高めた。式典や交流会を通じて住田に生まれ育った誇りも再認識したほか、今後の古里への貢献も誓った。

 

今後の古里貢献誓う


 気仙3市町では唯一、お盆の帰省時期に合わせている住田町の成人式。県内をみると、夏開催の市町村でも15日前後が多く、本年度のトップを切る門出となった。
 新成人の対象者は、平成9年4月2日から10年4月1日までに誕生した39人(男性19人、女性20人)。約8割にあたる32人に加え、小中学校時代の恩師や町関係者、町議ら計約100人が出席した。
 式では国歌斉唱に続き、出席した新成人の名前が一人ずつ紹介された。大きな声で返事を響かせたあと、国旗や町旗が掲げられた演台前で一礼。来賓や保護者らが見守る中、中央の通路を歩いて自席に戻り、家族や町関係者に成長した姿を示した。
 式辞で神田謙一町長は、詩人のサミュエル・ウルマン(アメリカ)が残した言葉を紹介し、何歳になっても挑戦を続ける大切さを強調。「古里のために心を持ち、将来に向かって輝き続けてほしい」とエールを送った。
 菊池孝町議会議長による祝辞に続き、新成人を代表して髙木俊亮さん(19)=社会福祉法人・成仁会職員、世田米中出身=が答辞。「今後も自己研さんに励み、住田に生まれ、育ったことに誇りを持ち、古里に貢献できるよう努める」と語った。
 この日は朝方から降雨が続いたが開催時にはやみ、屋外で記念撮影。木造のぬくもりと、森林・林業のまちらしさが伝わる役場前で笑顔を浮かべ、華やかさに包まれた。
 引き続き、交流プラザで新成人らによる実行委員会(佐々木勇也実行委員長)が企画、運営を担った交流会「味わい知る ふるさとすみた」を開催。地元食材をふんだんに用いた「鶏のから揚げ」「アユの塩焼き」「すみたっこバーガー」「一口かま餅」などが並び、手打ちそば調理の実演も行われた。
 乾杯後、ふるさとの魅力が詰まったおいしさを味わいながら懇談。思い出話を弾ませるだけでなく、小中学校の恩師によるスピーチにはりりしい表情で耳を傾けていた。
 6年5カ月前の東日本大震災時は、中学1年生だった世代。自宅の被災に伴い、2年生時に陸前高田市の気仙中から世田米中に転校した髙橋樹さん(20)=盛岡大学2年=は現在、硬式野球部に所属し、大船渡高時代と同様に投手として努力を続ける。
 式を終え「被災しても、ずっと好きな野球を続けさせてくれた親に感謝している。これからもできるだけ岩手に残り、復興につながる職業に就きたいと考えているが、まずは勉学や部活動をしっかりやっていきたい」と話していた。
 佐々木実行委員長(19)=大船渡地区消防組合消防士、有住中出身=は「社会人としての自覚が芽生え、これからもっと頑張ろうという気持ちになった。新成人のみんなとはこれからも助け合い、ともに活躍できれば」と語り、笑顔を見せた。
 本年度の成人式では初めて、町が進める「木いくプロジェクト」の一環でつくられた木製カードケースを、出席した新成人に贈った。若者たちは地元の木工職人たちが住田の魅力を発信しようとこだわった逸品を手にし、古里貢献への意識をさらに高めていた。