〝雨の恵み〟で壮観に、滝観洞「天の岩戸の滝」/住田町(動画、別写真あり)

▲ 訪れた人々を魅了する「天の岩戸の滝」=滝観洞

 梅雨明け後も雨が続く気仙地方。この影響で、住田町上有住の滝観洞内にある「天の岩戸の滝」では例年の5倍以上という水量で滝が流れ落ち、迫力あふれる空間が広がる。涼を楽しむ例年のお盆時期とはひと味違った魅力があり、管理する滝観洞観光センター(住田観光開発運営)では来訪を広く呼びかけている。
 全長3635㍍、高低差115㍍にも及び、国内屈指の鍾乳洞となる滝観洞。観光洞部にはライトアップされた鍾乳石が輝き、ダイナミックな造形の岩肌や地下水などによる神秘的な光景が続く。
 入り口から歩いて30分ほどの880㍍地点に、高さ60㍍にも及ぶドーム型の空間が広がる。天井部の大理石の裂け目から落差29㍍の「天の岩戸の滝」が魅了し、洞内滝としては国内屈指を誇る。
 同センターによると、気仙には8~9日にかけて最接近した台風5号の影響で、山から浸透した水が滝に集中。その後もぐずついた天気が続き、壮観さが維持されている。
 滝観洞は例年、お盆はかき入れ時になるが、ウリは「ヒンヤリ感」。洞内は常に10度前後であるため、暑くなるほど涼を求めて多くの行楽客が訪れる。
 今年は雨続きで、同センターでも「厳しい。暑くないから飲料なども売れない」と嘆く。しかし「天の岩戸の滝」に関しては「例年の5倍は水が流れ落ちている」と壮観さをPRする。
 14日以降はとくに帰省客らの姿が目立ち、駐車場には県外ナンバーの車両が多く並ぶ。通常は見ることが難しい絶景を堪能し、滝から広がる霧や水しぶきも浴びながら「すごい」と歓声を上げていた。
 東京都八王子市から訪れた八王子桑志高校2年の石井克貴君(16)は「3年ぶりに親戚と一緒に来た。今回の方が、滝のすごさがよく分かった。洞内を歩くのはきつかったけど、楽しかった」と話していた。
 滝の絶景だけでなく、洞内では古代生物をかたどったチェーンソーアートが歓迎。食堂では本年度からメニューに加わった「洞くつカレー」に加え、滝流しそばも人気を集める。
 入洞受付は午前8時30分~午後4時30分。問い合わせは同センター(℡48・2756)へ。