羅漢像500体到達へ、19日まで米崎町の普門寺で制作会/未来への記憶プロジェクト(別写真あり)

▲ 柔らかい石が使われ、初心者でも制作できる石仏=米崎町

 陸前高田市米崎町の普門寺(熊谷光洋住職)境内で19日(土)まで、「未来への記録プロジェクト」による五百羅漢の制作会が開かれている。平成25年夏から毎年この時期に実施されてきた石仏制作会は、開始から5年、東日本大震災の「七回忌」を迎えた今年、目標としてきた500体の完成をみる。主催者は今回で最後の実施となる制作会への参加と、期間中に開催される関連行事への来場を呼びかける。

 

今年で最後に

 

 同プロジェクトは、臨床心理学博士でアートセラピストの資格を持つ佐藤文子さん、現代アート作家の増川寿一さん、ミュージシャン・あるまんど山平さん、岩崎幸之助さんの4人で25年に発足。熊谷住職の賛同を得て、同年から普門寺で五百羅漢の制作会を開いている。
 羅漢像は古来より、飢饉や大災害で犠牲となった人たちへのとむらいの意味を込めて彫られたともいわれる。同プロジェクトによる石仏づくりは、東日本大震災による犠牲者の追悼に加え、「ノミを打つ音、石との〝語らい〟には、悲しい思いやトラウマを癒やす効果がある」とし、心的セラピー(癒やし)の場として位置付けられてきた。
 羅漢像は昨年までにおよそ430体が完成し、同寺へ奉納。今年で500体を超えることが確実となっている。今夏は13日から制作会が始まり、初日から十数人が参加。毎年のように訪れている「リピーター」の姿もみられる。石仏は最短で3時間ほどあれば1体彫れるといい、参加者が思い思いのペースで、境内にノミを打つ音を響かせている。
 同寺参道に設置された像は、形や表情もさまざま。安らかにほほ笑んでいる石仏もあれば、悲しげな顔をしているものなどもあり、彫る人がどのような思いを込めるかは自由だ。飼っていたペットを思ってか、動物の形をした像も点在する。開始当初に彫られた石仏はうっすらとこけむし始め、独特の静謐(せいひつ)な雰囲気に。寺の参拝者も足を止めて見入っている。
 増川さん(56)=東京都在住=は、「アートセラピーとして始まったことだが、年々数が増えていろんな方が見にいらっしゃるようになり、『陸前高田へ何度も足を運んでもらいたい』という目的もかなえられているのでは」といい、「プロジェクトは今年で終わるが、石仏は何百年も残る。(人々の思いを未来へつなげたいという)コンセプトはずっと後世へ伝わっていくと思う」と話していた。
 制作会への参加費は、り災証明を持つ人が1500円。それ以外の人は3000円となる。開催時間は午前9時~午後4時まで。18日(金)午前10時30分からは五百羅漢の開眼法要が営まれる。18、19日に制作した像の開眼法要は20日(日)午前10時より行う。
 19日午後5時からは普門寺本堂で、マイク眞木さんによるコンサートを開催。入場無料で、開場は4時30分。
 羅漢像づくりの申し込みは、電話(090・3814・3280、岩崎さん)かメール(500.rakan.2017@gmail.com)で。