複合検索で全国大会へ、住田分署の葛西消防士長/大船渡地区消防組合

▲ 全国大会に出場する葛西消防士長㊨と中平消防士長=市防災センター

 宮城県利府町の宮城県総合運動公園「グランディ・21」で23日(水)に行われる第46回全国消防救助技術大会の水上の部複合検索に、大船渡消防署住田分署の葛西翼消防士長(32)が出場する。同大会の技術訓練には、大船渡地区消防組合消防本部の6人も出場予定で、東日本大震災後初めてとなる被災地での大会を目前に控え、猛特訓が続いている。

 

 本部の6人も技術訓練に出場

 

 葛西消防士長が出場する複合検索は、水中での行方不明者の捜索を想定したもの。マスクやシュノーケル、フィンを身につけ、プールの水面に浮かぶ障害物を突破しながら、水底に沈むリングを探し引き上げるという競技内容で、タイムと正確性が問われる。
 葛西消防士長は、7月19日にグランディ・21で開催された東北大会で、10人中3位に入賞。全国大会への切符をつかんだ。平成22年には陸上の部はしご登はんでも全国大会に出場しており、陸上、水上の両部で全国出場するのは「県内でおそらく初めて」(大船渡地区消防組合)という快挙となった。
 練習には、立根町の市Y・Sセンターが協力。プールを借りて特訓を重ねてきた。葛西消防士長は同センターの取り計らいに感謝しつつ、「大震災で被災された方が元気になるような、明るいニュースを届けられたら」と誓っている。
 一方、同組合が出場する技術訓練は、災害の複雑多様化に対応し、さらなる救助技術の向上を目指すため、隊員の創意工夫によるさまざまな救助方法や救急器具の活用方法などについて発表するもの。
 出場するのは、中平光消防士長(41)、吉田京太郎消防士長(33)、山田隆一消防副士長(26)、林輝彦消防副士長(30)、藤原圭貴消防副士長(24)、渡辺翔消防副士長(25)の6人。
 このうち5人が救助活動を展開し、渡辺消防副士長は要救助者役を務める。
 訓練は、津波で被災した2階建ての建物屋上に避難している要救助者1人を地上に救出するという想定で、制限時間は15分。
 「消防車が近づけないところで、必要最低限の資器材でいかに救助するか」に主眼が置かれており、総合アドバイザーの田中和友消防士長(42)とメンバーたちは、自ら想定を決めたあと、救出方法を検討し合ったという。
 隊長を務める中平消防士長は「国内では首都直下型地震や、南海トラフを震源とする大地震が危惧されている。全国のみなさんの参考になる精度の高い展示ができれば」と力を込めていた。