「支え合う共生の町に」、神田町長が所信表明演述/住田町議会

▲ 就任後初の臨時会で所信表明演述を行う神田町長(手前)=住田町議会

 住田町の神田謙一町長は22日、就任後初めてとなる町議会の臨時会に臨み、所信を表明した。現場主義と行動力を大切に、知恵を出し合いながら課題解決に取り組む姿勢を強調。「支え合う共生の町」を目指すとし、選挙戦で訴えた「医・食・住」を中心とした主要施策を述べた。
 臨時会には、先月行われた町議補選で当選した荻原勝議員を含む全12議員が出席。所信表明演述は、20分間にわたり行われた。
 神田町長は冒頭、「町民の皆さまから、ふるさと住田を思う気持ちを直接聞き、豊かな地域づくりや安心できる地域社会を願う姿に接し、改めて深い感銘を受けた。地域の宝を守り、はぐくみながら、活力と笑顔あふれる豊かなまち・住田を築くことが私の使命と決意を新たにしている」と、選挙戦以降の自らの思いを振り返った。
 一方、厳しい地域経済情勢や人口減少・少子高齢化の進行、中長期的に予想される厳しい財政状況など、多くの課題を抱えているとも指摘。「現場主義と行動力を大切にし、知恵を出し合い、汗をかきながら、限られた財産を有効に活用し、課題解決に向けて全力で取り組む」と決意を述べた。
 町政運営方針については「住田町を『支え合う共生の町』にしていく」と強調。町長選でも訴え続けた「医・食・住」を要とする主要施策を述べた。
 このうち「人に優しくうるおいが感じられるまちづくり」では、結婚・出産・子育て支援の充実、町民の心の健康づくり、地域医療の充実、障害者・高齢者福祉の充実、地域づくり活動などに言及。「安全・安心の町づくり」では、水質や森林保全、道路・河川整備、情報化社会の対応などに取り組む姿勢を掲げた。
 「雇用と仕事を創出支援し、経済を活性化」では、農業、林業、商工業、観光業の産業振興を図るとともに「有機的連携にも積極的に取り組む」と語った。農業技術指導や経営知識の向上、新規就農促進、集落型営農の促進を図る方針も示した。
 林業振興に関しては、再生可能エネルギーである木質バイオマスの有効活用など「木の地産地消」の推進を模索し、地元産材の利用拡大や地域経済循環の創出に努める姿勢を強調。川上から川下までの地域林業システム構築は、住田ならではの環境を生かせるシステムなどを検討しながら、林業関係者の安定収入や雇用拡大につなげ、町内産業の主軸として育成していく考えを明かした。 
 教育環境の整備・充実、文化・芸術振興・文化財保護の各方向性も演述。最後に「住んで良かったと町民のみなさんが実感でき、次代を担う子どもたちが住田に住んでいたいと思えるような笑顔あふれるまちづくりを目指す」と述べ、議員らに理解と協力を求めた。
 所信表明の終了後、復興産業集積区域と過疎地域における固定資産税の課税免除に関する条例の各一部改正、消防団3分団1部と5分団1部の小型ポンプ積載車更新の計3議案を審議。いずれも原案通り可決した。