すみた荘に中央協会長賞、地元材で開放的な空間に/木材利用優良施設

▲ 木材の温かみにあふれる内部空間=すみた荘

 木材利用推進中央協議会(吉条良明会長)による平成29年度「木材利用優良施設表彰」で、一昨年に完成した住田町世田米の特別養護老人ホーム・すみた荘が、木材利用推進中央協議会長賞に選ばれた。地元産のスギ材をふんだんに用いて、開放的な空間を確保した構造などに高評価が寄せられた。

 同協議会は昭和59年に発足以来、各都道府県に設立された地方協議会と一体となり、木材の利用推進・需要拡大のための諸運動に取り組んでいる。この一環として、平成5年度から農林水産省の後援を受け、木材利用優良施設を表彰。木材の利用推進などに寄与すると認められた優良施設をたたえている。

外観は世田米の伝統的な蔵並みをイメージ=すみた荘

 今回は全国各地から公共、民間の木造建築物や内装材に木材を利用した施設など103施設の応募があり、一次審査によって69施設に絞られた。この中から農林水産大臣賞1施設、林野庁長官賞3施設、木材利用推進中央協議会長賞4施設が選ばれた。
 すみた荘の表彰は、施主である社会福祉法人鳴瀬会、設計者の㈱久慈設計、施工者の日本国土開発㈱東北支店が対象。表彰式は、東京都内でこのほど行われた。 すみた荘は、木造・一部鉄筋コンクリート・鉄骨造の平屋建てで、本体棟とボイラー棟を合わせた建物面積は5006平方㍍。スギやカラマツ、アカマツを使用している。
 旧施設の老朽化に伴い移転新築され、外観は世田米の伝統的な蔵並みをイメージ。内部は町の基幹産業である林業をアピールできる構造となっており、とくに地域交流ホールやデイサービスホールでは、耐力壁や筋交いを必要としない開放的な空間を確保した。
 給湯や暖房用にはチップボイラーを導入し、熱エネルギーの地産地消にも貢献。建設途中には高校生をはじめ多くの見学を受け入れ、次世代を担う木造技術者育成にも寄与した。
 すみた荘の鈴木玲施設長は「利用者のみなさんは、快適に過ごしている。木の香りにあふれる中での生活はやはり、ひと息つきやすく、心をほっとさせやすい」と話している。
 優良施設表彰での住田町内の受賞は、一昨年に林野庁長官賞を獲得した町役場以来となる。