新リーダーと熱く議論、町長囲み「住田若者会議」/青年会議所が企画(別写真あり)

▲ 神田町長(左から2人目)を囲んでの住田若者会議。幅広い分野の施策が話題に上った=世田米

 陸前高田青年会議所(高橋勇樹理事長)主催の「住田若者会議」は25日夜、住田町世田米のホテルグリーンベル高勘で開かれた。今月就任した神田謙一町長を囲み、町内在住の若者らが将来像や地域課題を巡り意見交換。移住・定住促進や農林業振興など幅広い論点で語り合い、持続可能なまちづくりに向けた認識の共有を図った。

 町内の若者世代に参加を呼びかけ、今後の住田の未来について考えようと企画。町内在住の18~45歳の町民や町職員、会議所メンバーら約30人が参加した。
 冒頭、高橋理事長は「人口減少など多くの課題はあるが、何もしなければただ進行していく。歯止めをかけるために、この地域をより良い方向にしていきたい。前向きな意見で、政治を変え、社会を変えていこう」などと呼びかけた。
 前半は神田町長が「これからの町政とまちづくり」と題して講演。住田に生まれ、これまで獣医師や企業幹部として畜産振興などに尽力してきた足跡を振り返った。
 そのうえで「動物に聴診器をあてても、どこが異常かすぐに分かるわけではない。恩師には『分かるまであてなさい。100回でもあてなさい』と教えられた。住民の皆さんが何を考えているか、本音はどこにあるかを100回でも200回でも聞いていかなければいけない」と語った。
 また、経済活動を活発化させ、若い世代を町内に呼び込む流れづくりにも意欲を示した。「古里に住む人として何を本当に望んでいるか。1から100まですべて望んでいるわけではなく、中には我慢できるものもありそうだ。どこに投資すれば大きな効果があるかを判断しながら、行政を進めていきたい」と力を込めた。
 会場には出席者が6、7人ごとに座るテーブルが5卓設けられ、神田町長は各テーブルを回り意見交換。観光振興や移住・定住促進、農業、林業、町に活気を与える施策などが話題に上った。
 このうち、移住・定住策で神田町長は「情報発信が不足しているのでは」と指摘。首都圏在住者にとって本当に役立つ発信を考えるべきとし、町内にある空家がリフォームでどれぐらい快適性を向上できるかを伝えていくアイデアなどを挙げた。
 農業施策に関しては、農地の集約化促進などにふれ「世界的には人口が急増し、今後は食料の値段が上がっていくだろう。今は我慢しなければいけない部分も多いが、中長期的な動向も見据えながら動くことも大切」と語った。
 林業については「『森林・林業日本一の町づくり』に関する施策は、多田欣一前町長の前から力を入れてきた。首長が代わったから発信を辞めるということにはならない」と発言。町内産業の主軸として引き続き育成していくべきとの考えを示した。
 若者からは「旧役場跡地に大きな屋根を設け、雨天でもイベントができる場所に整備を」「住田だけでなく、大船渡や陸前高田、気仙沼の同世代の若者が交流できる機会を」などの声が寄せられた。参加者は住田の現状を見つめ直しながら、住みよいまちづくりに向けたアイデアを膨らませていた。