被災者の生活に対する実感 、回復、やや回復8割超に/県が復興ウォッチャー調査結果公表

 県は、今年7月に実施した「いわて復興ウォッチャー調査」の結果を公表した。本県沿岸被災地住民に対してアンケートを行ったもので、被災者の生活に対する実感では、「回復した」「やや回復した」の合計が83・5%となり、1月に行われた前回調査の結果を4・9ポイント上回った。復興道路の完成や災害公営住宅などへの入居によって生活環境が改善され、目に見えて復興の完成イメージがつかめるようになったという声がある一方、今後の地域コミュニティー活動が課題という声も上がった。

 

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 県は平成24年度から、東日本大震災津波からの復興状況を定期的に把握するため、1月、7月の年2回ずつ、被災地域(沿岸12市町村)に居住または就労している約150人を対象として調査を実施している。
 調査項目は▽被災者の生活の回復に対する実感▽地域経済の回復に対する実感▽災害に強いまちづくりに対する実感──の三つ。今回の調査では、153人中121人(79・1%)から回答を得た。
 生活の回復に対する実感を地域別にみると、「回復した」「やや回復した」の割合は気仙3市町を含む沿岸南部で81・0%と、前回の75・6%を5・4ポイント上回った。沿岸北部でも88・1%で前回の85・0%を3・1ポイント上回っている。
 直近6カ月の進ちょく状況では、「進んでいる」「やや進んでいる」の合計が全体で76・0%となり、前回の75・8%を0・2ポイント上回った。
 また、生活回復度と前回調査からの進ちょく状況に対する実感の指標(動向判断指数DI)では、生活回復度はプラス56・5と前回指数から5・3上昇。進ちょく状況はプラス50・0と前回の指数から2・1下がり、足踏み感がみられた(別掲グラフ参照)。
 「回復した」や「進んでいる」と答えた主な理由としては「生活苦の話を聞かなくなった。回復はおおよそできているのではないか」(39歳以下、地域団体・郵便局関連)「防潮堤工事や復興道路などの工事が進み、目に見えて完成イメージがつかめるようになってきた」(50代、教育・福祉施設関連)などの声があった。
 一方で「高齢者は以前住んでいた地域の人とのつながりがなくなった。車の運転もできなくなってきているので買い物も近くではできず、生活していくのが大変そうだ」(50代、教育・福祉施設関連)といった懸念も示された。
 地域経済の回復に対する実感では、「回復した」「やや回復した」の合計が全体で62・8%となり、前回の53・6%を9・2ポイント上回る結果に。地域別では、沿岸南部が55・7%で、前回を7・5ポイント上回っている。
 商業施設の完成により地域経済が回復しているという声がある一方、人手不足や販路確保などに不安が残る状況もうかがえる。
 災害に強い安全なまちづくりの達成度については、「達成した」「やや達成した」の合計が全体で50・4%と、前回の45・9%を4・5ポイント上回った。「あまり達成していない」「達成していない」の合計は全体で16・8%。前回の15・5%を1・3ポイント上回った。
 防潮堤や宅地整備、復興道路の整備により目に見える形での復興が着実に進んでいるという評価はあるが、地域によって進ちょくに差が生じているとの声もあった。