実質収支は28億円の黒字、陸前高田市議会9月定例会が開会/28年度決算
平成29年9月2日付 1面

陸前高田市議会9月定例会は1日、開会した。会期を20日(水)までの20日間と決めたあと、本年度一般会計補正予算と28年度各種会計決算を上程し、決算等特別委員会に付託。一般会計と6特別会計を合わせた28年度決算は、実質収支で28億円の黒字となった。同日は報告2件、人権擁護委員の候補者推薦、工事請負契約締結など執行前提案9件を即決。また、市役所の新庁舎再建などに関する請願4件、防災集団移転促進事業にかかる賃料見直しについての陳情1件を常任委員会および特別委員会に付託した。
28年度一般会計と六つの特別会計を合わせた決算総額は、歳入879億3634万円、歳出837億9567万円。歳入額から、歳出額と次年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は28億7538万円の黒字となった。
29年度の一般会計補正予算では、都市計画などにかかる土木費や災害復旧費などを追加計上した一方、総務費が約12億2225万円減ったことから、全体で約3億7948万円減額。歳入歳出それぞれの総額を、773億6742万円から769億8794万円とした。
この日議決したのは、▽人権擁護委員の候補者の推薦▽教育委員会の委員の任命▽要谷漁港海岸災害復旧(双六地区防潮堤)工事の変更請負契約締結▽両替漁港海岸災害復旧(防潮堤)その2工事の変更請負契約締結▽只出漁港海岸災害復旧(防潮堤)工事の変更請負契約締結▽財産の取得──など9件。
人権擁護委員候補者の推薦は、4人の現職委員が今年12月31日で任期満了となることを受けて行われ、村上温代氏(70)=矢作町=と菅野幸氏(69)=竹駒町、蒲生由美子氏(58)=広田町、佐々木貞子氏(61)=矢作町=の4人を適任と認めた。
任期満了に伴う教育委員の人事では、伊藤昌子氏(49)=高田町=の任命に同意した。
要谷漁港海岸災害復旧工事は、防潮堤背後地からの排水処理に伴う函渠(かんきょ)工などを追加。施工する髙惣建設㈱・鈴木建設㈱経常建設共同企業体との契約額は1億1584万円余り増え、6億7127万円となった。工期は来年6月末まで延長する。
財産の取得では、気仙町今泉地区の防集促進事業の用地として、山林27筆、約7万6702平方㍍を取得するとした。取得予定価格は約7989万円。
請願は▽日本政府が速やかに核兵器禁止条約に署名し、国会が批准することを求めること▽東日本大震災被災者の医療費窓口負担の免除継続を求めること▽市役所再建にかかる新庁舎建設基本構想、新庁舎建設基本計画について▽市役所再建にかかる新庁舎建設基本構想、新庁舎建設基本計画についての議会公聴会の開催──の4件。
このうち「新庁舎建設基本構想、新庁舎建設基本計画」では、庁舎建設の基本構想および基本計画について、議会の議決が必要なものとして加えることを求めるもの。また、「基本計画についての議会公聴会の開催」では、「市民が重要施策の具体的構想や計画づくりに参加することは、復興計画における協働まちづくりに必要」として、議会公聴会の開催を請願。いずれも復興対策特別委員会に付託された。
定例会はこのあと、5日(火)〜7日(木)に一般質問が行われ、10議員が登壇する。11日(月)と20日(水)には本会議を開く。
新会派「至誠会」が発足
陸前高田市議会(伊藤明彦議長、定数18)に新会派「至誠会」(大坂俊会長、2人)が設立された。これにより、同市議会は5会派から6会派に再編され、無会派の議員がいなくなった。
会派設立の届け出があった至誠会は、翔英会を離脱した大坂議員が会長を務め、これまでどの会派にも属していなかった中野貴徳議員が幹事長として所属。また、同じく無会派だった蒲生哲議員は、新志会(菅原悟会長)に入会した。
これにより、会派構成は日本共産党陸前高田市議団(3人)、翔英会(2人)、新風(3人)、創生会(3人)、新志会(4人)と至誠会の6会派となった。