サンマ漁振るわず、不漁の影響各所に及ぶ /大船渡市魚市場

▲ 水揚げ量が振るわないままとなっている今季サンマ漁=大船渡市魚市場

 8月に水揚げが始まった今季のサンマ漁。秋の味覚として親しまれている大衆魚だが水揚げは振るわず、本州一の実績を誇る大船渡港への水揚げ量は9日現在で433㌧と、昨年同期を237㌧下回っている。全国への直送便事業や小売にも影響が出ている。17日(日)には大船渡市でさんままつりも予定されているが、開催に十分な数量を確保できるか、関係者らは今後の水揚げ動向を注視している。


 先月24日に大船渡で初水揚げされたサンマだが、今月1日からは水揚げがないままだった。11日には12㌧が水揚げされたものの、120㌘以下の小さい型が多数を占めた。
 大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)によると、9日現在での累計水揚げ金額は1億8461万円(税込み)で前年同期比55%減となっている。さらに今年は大型のサンマがほとんど入らず、小(140㌘~120㌘)や小々(120㌘以下)が主体となっている。
 こうした中、スーパーマーケットの㈱マイヤ(米谷春夫社長)では、各店で受け付けてきたサンマ直送便の予約を今月12日でいったん中断した。
 マイヤ大船渡店によると、直送便の受け付けは8月1日から開始となったが、物量がないため発送に苦慮している状況。店頭では解凍ものを並べて対応してきた。漁のピーク時には店頭価格が100円を切るが、このまま不漁が続けば高値のまま推移する可能性もありそうだ。
 同店の今野敏彦店長は「水揚げがないのは仕方ないこと。旬の商品であるサンマを並べることができないのは残念だが、サンマ以外の魚もPRしていきたいと考えている」と話す。
 また、先月7日に「大船渡港サンマ直送便」の予約を開始した大船渡市さんままつり実行委員会(会長・佐々木英一大船渡水産物商業協同組合理事長)では、これまでに8000件ほどの予約を受け付けた。
 不漁を見込んで発送開始を例年より1週間ほど遅い今月7日としたが、漁がないため発送できない状態が続いていた。約21㌧が水揚げされた12日に、約500箱を発送することができたという。
 値上がりも見られ、佐々木理事長は「今年は赤字になるかもしれない。まとまった量が入ってきて価格が安定してくれれば」と、今後の漁模様に期待を込めている。
 同実行委では17日には水産のまち大船渡のPRなどを図る恒例の催し「三陸大船渡さんままつり」の開催を予定。サンマ炭火焼き2000匹の提供(1匹200円)、生サンマ直売などを計画しているが、大船渡港への水揚げ分だけではまつりに見合う数量を確保できないことも懸念されており、今後の水揚げ状況によっては中止か延期も検討するとしている。
 サンマ漁は昨年も全国的な不漁に見舞われ、年間漁獲量は11・2万㌧で昭和55年以降では最低となっていた。大船渡市魚市場には本州一となる1万3845㌧の水揚げがあったものの、不漁だった前年並みにとどまった。
 昨年、同市魚市場には9月中旬以降にまとまった量が水揚げされ始めたことから、関係者らは今後の漁の好転を願っている。
 国立研究開発法人水産研究・教育機構が発表した予報によると、9月中旬には沿岸域にサンマの主漁場が形成され、一時的に漁獲量が増加すると予想され、その後は親潮第1分枝に沿って南下し、三陸海域では前年よりも早く平年並みの10月上旬に漁場が形成される見通し。