今泉のよりどころに、震災で全壊の金剛寺再建/陸前高田

▲ 真新しい本堂で完成を喜ぶ小林住職=気仙町
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10月8日には落慶法要が営まれる=同

 東日本大震災で全壊し、高台で移転新築工事を進めていた陸前高田市気仙町の如意山金剛寺(小林信雄住職)の本堂が、13日に完成した。津波で壊滅的な被害を受けた今泉地区にある同寺。あの日から6年半を経て、ようやく再建を果たし、小林住職は地域内外からの支援に感謝を寄せながら、檀信徒や地域住民の心のよりどころとなるよう思いを新たにする。

 

10月に落慶法要/小林住職「支援に感謝」

 

 同寺は、仁和4年(888)に創建したとされ、1100年以上の歴史を持つ。震災で本堂のほか、位牌堂、庫裏、山門などが流失。檀家(だんか)は約250戸のうち220戸が被災し、檀信徒126人が犠牲となった。
 「寺は檀信徒や住民の方々の心を安らげる場。本堂は何が何でも建てないと」。小林住職はすぐに再建を目指した。宗教法人のため公的機関からの補助は望めないが、全体の9割近くが被災した檀家からの寄進は求めず、自力での工事に踏み切った。
 移転場所の裏山を数十㍍切り崩し、約4600平方㍍の敷地を造成。敷地内には宅地9区画を設け、今泉の自宅を失った被災者らに分譲した。
 本堂の建設は昨年春に着工。山の造成と建設費は2億8000万円ほどに上り、寺の残資金、全国からの義援金、財産の売却費などでまかなった。
 木造の建物は入母屋造りで、広さは約290平方㍍。檀家有志から寄付されたアカマツやヒノキ材、津波で全壊した庫裏の部材なども活用。
 予算が限られるため、震災前にあった位牌堂、庫裏は設けず、代わりに本堂の中に位牌室、多目的スペースを確保した。
 「金剛寺とは切っても切り離せない」という、しだれ桜も復活させる。かつて境内を彩ったしだれ桜は、今泉地区伝統の「けんか七夕」の山車に飾るアザフのモデルになったとされ、津波前の成木由来の苗木を本堂脇に植える予定だ。
 13日に完成検査を済ませ、17日には矢作町の円城寺に仮保管している本尊をはじめとした仏像や仏具の搬入を行う。
 本堂の落慶法要は10月8日(日)午前9時から営む。
 小林住職は「多くの人のご支援、ご協力のもと立派な本堂ができた。感謝してもしきれない」と喜び、「震災前のように地域に親しまれる寺を目指す」と誓う。