台風接近に備え稲刈り、「実りの秋」直前に警戒/住田町(別写真あり)

▲ 黄金色と好天に恵まれた中でコンバインを動かす佐藤さん=世田米

 気仙地方は15日、風がやや強かったもののさわやかな秋晴れが広がった。非常に強い台風18号が東シナ海を北上し、16日からの3連休には上陸の可能性もある中、住田町内では稲刈り作業も見られた。生産者は抜けるような青空と地面を鮮やかに彩る黄金色を見つめ、豊作への願いを込めた。

 

青空に託す
豊作の願い

 住田町世田米では、佐藤謙二さん(60)が青空の下でコンバインを使った刈り取り作業で汗を流した。自宅近くで「あきたこまち」を育て、ほとんどが自家消費という。
 台風北上に備え、稲穂の色づきが良い田から始めた。「コンバインの試運転という意味合いもあるけど、倒れてしまう前にやった方がいいだろうから。今年は天候不順だったから実が入っていないのもあるだろうが、何とかなるんじゃないかな」と話す。
 今年職場を定年退職し、埼玉県からUターン。「やっぱり稲刈りの時期の景色はいいね」と語り、黄金色に包まれる中で笑みもこぼれた。
 盛岡地方気象台の観測によると、15日の住田の最低気温は11・7度で、平年を3・4度下回った。最高気温は23・7度で、前日よりも高かったものの、平年よりは0・3度低かった。
 今年は7月に高温が続いた一方、8月上旬から中旬は日照時間が平年の2割程度にとどまるなど、秋に収穫期を控える農作物への影響が心配され続けてきた。気仙各地の生産者は、排水対策や病害防除を徹底。9月に入り、待望の青空が続く。
 しかし、新たな心配の種は、非常に強い勢力を維持したまま九州に上陸するルートで進む台風18号。17日には日本列島を縦断し、18日は東北地方への接近・上陸が予想される。
 15日午前に仙台管区気象台が発表した東北地方の週間天気予報によると、16~22日は高気圧に覆われて晴れる日が多いものの、17日から18日にかけては前線や台風の影響で大雨や大荒れの可能性もあり、十分な警戒が必要だ。