仮設住宅訪問を継続、マッサージ通じて交流/北里大卒業生の畠中さん

▲ 木造仮設住宅内で施術を行う畠中さん=下有住

 東京都武蔵野市在住で鍼灸・あんまマッサージ指圧師の畠中律さん(65)は15、16の両日、住田町内の木造仮設住宅団地でマッサージ支援を行った。東日本大震災が襲った平成23年夏から定期的に通い続け、ボランティアでの訪問は今回で14回目。自身は北里大学水産学部の卒業生で、〝第二の故郷〟である気仙で住民と交流をはぐくみ続けながら、早期復興を後押ししている。

 

〝第二の故郷〟途絶えぬ思い

 

 15日は下有住の中上団地、16日は世田米の本町団地で行い、木造仮設住宅の一室には途絶えることなく住民が訪れた。団地内に暮らす女性の一人は、足裏などを丁寧にマッサージしてもらい「お話も楽しいので、体だけでなく気持ちも楽になる」と、笑顔を見せた。
 症状に応じ、はり・きゅうも施す。17日は、三陸町越喜来の杉下団地で行う予定。3日間で約50人と向き合い、施術後は住民らと食事などを通じて交流を深める。
 畠中さんは、三陸町にキャンパスがあった北里大学水産学部の2回生。2~4年生時は三陸町内のアパートで暮らし、卒業後もたびたび訪れては吉浜川などでの渓流釣りを楽しんでいた。
 東日本大震災を受け、交流があった人々を案じ、気仙での支援を模索。知人を通じて最初に紹介されたのが、住田町内の木造仮設住宅だった。農林会館に宿泊し、慣れない環境下で張り詰めた日々を過ごす被災者の助けになればと、活動を続けた。
 当時の中上は、整備された63戸すべてに被災者が入居。現在では、町職員らの利用を含めても半数以下にとどまる。
 最初の訪問時について畠中さんは「あの当時はまだ緊迫感があり、皆さんの体からもそれが伝わってきた。経験談を教えてもらう傾聴の方も大きかったような気がする」と振り返る。
 平成24年以降は5月と9月の連休を利用して訪れ、住田町内の各団地だけでなく杉下団地にも出向くようになった。各地で対応した住民の名前や身体の状況は、すべてメモをとっている。その数は今、約200人分に達した。
 復興事業や住宅再建の進展に伴い、来るたびに顔なじみの入居者が〝卒業〟していったと聞く。しかし、新居に移った住民も団地を訪れ、再会を喜びながらリフレッシュを図る。
 平成30年度以降も仮設住宅の需要が残る中「皆さんや自然から、こちらも元気をもらうことができる。仮設がなくなるまで続けたい」と畠中さん。これまで出会った人々とのつながりを大切にしながら、復興への歩みを見届け続ける。