「長寿の里」どう維持、高齢化率50%超の地域も/気仙

▲ なごやかな雰囲気の中で行われた大洞自治公民館での敬老会=五葉地区

 あす18日は『敬老の日』。気仙では高齢者の長寿を祝い、趣向を凝らした敬老行事が行われている。総人口に占める65歳以上の割合は気仙3市町とも県平均を上回り、気仙はやはり「長寿の里」といったところ。住田町は県内でも特に高齢化率が高く、地域によっては50%を超える。人口減少による難しさに直面しながらも地域ごとに敬老会を催し、住民同士の絆を強めている。

 

あす『敬老の日』

 

 県のまとめによると、総人口に占める65歳以上の高齢化率(数値は昨年10月1日現在)は大船渡市34・9%、陸前高田市37・7%、住田町41・8%となっている。
 気仙全体では36・4%と、県平均31・1%を上回る。県内で最も高いのは西和賀町の47・7%。44・0%の葛巻町が続き、住田町が3番目となる。
 同町によると、今年7月末では、人口5712人のうち65歳以上は2415人で、高齢化率は42・28%に上昇。本年度中に米寿の88歳を迎えるのは73人で、前年度の出生数17人の4倍超にあたる。
 100歳以上は6人で、90代(90~99歳)は244人。80代(80~89歳)は815人で、70代(70~79歳)の796人を上回る。65~69歳は554人となっている。
 男性の高齢化率は36・83%だが、女性は47・44%。町内行政区別(4月1日現在)にみると、五葉地区の大洞(33区)が最も高く57・58%。住民33人(男性16人、女性17人)のうち、65歳以上は19人(男性5人、女性14人)が占める。同区を含め、50%以上の行政区は4区ある。
 町内での敬老会は70歳以上が対象で、大股地区を除き基本的には町内に22カ所ある自治公民館ごとに開催。町も公民館運営経費補助の中で、財政的な支援を行っている。
 多くは17日の開催だが、33区の住民で組織する大洞自治公民館(紺野孝館長)は、いち早く10日に実施。館内に紅白幕を飾り、幅広い世代の住民約20人が集まった。
 敬老会に出席し、町からの米寿祝いを受け取った紺野ヨシエさん(87)は「週に1回福祉施設に行ってるけど、敬老会は同じ部落の人たちでの顔合わせ。みんな一緒で楽しいね」と話し、笑顔を見せた。
 テーブルには購入した弁当に加え、中国出身の住民による餃子、炭火で焼いたホタテ、トウモロコシなど手づくり料理も多く並んだ。準備は前日から行ったという。
 紺野館長(59)は「うちにとって敬老会は特別。いろいろな世代が集まる数少ない場だから」と語る。
 公民館内は15世帯と小規模である半面、サル被害など住民共通の地域課題も抱える。「何でも行事や活動を行えばいいというものでもない。なるべく簡素化しながら、やれる中でやっていくしかない」と紺野館長。館活動では河川清掃や草刈りもあり、作業に出られる住民が手分けをしながら環境保持を図る。
 超高齢化社会の波が直面する中、住民が無理のない範囲の中で支え合い、活気や生きがいをどう維持していくか。町では、五つある地区公民館単位での「小さな拠点」などを進めているが、住民生活を支える受け皿づくりは、待ったなしと言える。