認知症への理解深めて、『ガイドブック』あす以降全戸配布/大船渡

▲ 市が作成し、全戸へ配布する『認知症ガイドブック』

 大船渡市は『認知症ガイドブック』(認知症ケアパス)を作成し、20日(水)以降、市内全戸に配布する。ガイドブックは、認知症高齢者の増加が見込まれる中、市民に認知症への理解を深めてもらい、地域で支えていく体制づくりを進めていこうと発行。認知症の人の状態に応じた適切なサービス提供の流れを示す「認知症ケアパス」をはじめ、主な症状といった基本的な知識、認知症患者との接し方などを掲載しており、市は活用を呼びかけている。

 

 団塊の世代が後期高齢者となる平成37年には、全国で認知症の人が約700万人にまで増加するといわれる。市は現在、市内における認知症高齢者の数は約2000人と推計している。
 国は25~29年度までの「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」で、取り組み課題の一つ目に「認知症ケアパスの作成」を挙げる。ケアパスは認知症の人やその家族が地域の中で本来の生活を営めるよう、市町村ごとに作るよう求めている。
 市はケアパス作成にあたり、国が27年に示した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の基本方針を踏まえ、基本的な認知症の知識なども盛り込んだガイドブックとしてまとめた。市民がより認知症に理解を深め、市を挙げて取り組む地域包括ケアシステムの構築につなげたいとの目的もある。
 笑顔のおおふなトンが表紙を飾るガイドブックは、A4判でオールカラー28㌻。最初の項目「もっと認知症を知ろう」では、認知症が脳の病気であることや主な症状などを挙げ、続く「認知症に早く気づこう」では受診時に伝えたい本人の言動や困りごと、症状に気づいた時期などをチェックし、書き込めるリストを掲載した。
 認知症ケアパスとなる「認知症の症状とその対処法・支援体制」では、軽度認知障害と認知症(軽度~中等度~重度)の進行に応じた主な症状と、状況に応じた相談窓口、介護予防、活動の場、生活支援、医療などを一覧に。支援体制は「目的別の主な支援内容」として、各支援の説明、関係機関の連絡先などを載せた。認知症の相談が可能な市内の医療機関、市内のサロン・サークル活動状況一覧表は、別冊の『情報集』にまとめている。
 「こんなとき、どうする?」の項目では、▽病院に行こうとしない▽「あんたが盗んだだろう」と言う▽車の運転をやめようとしない──など、認知症の人の言動に対し、本人の気持ちを考えながら対応するポイントを解説。運動や食事などの「認知症予防のポイント」にも触れている。
 市は20日付広報お知らせ版と合わせ、市内1万4396戸へガイドブックと情報集を1部ずつ配布。関係機関への配布と活用の周知も図り、医療機関や介護事業所、各種支援団体などが情報を共有し、地域包括ケアの視点でさらなる連携を深めて認知症への課題に取り組んでいく。
 後藤俊一生活福祉部長は「地域包括ケアの体制づくりを進めるうえで、認知症対策は柱となるもの。認知症に対する市民の関心を高め、隣近所で支え合い、見守り合う一助になれば。一人でも多くの市民に認知症への理解をいただき、優しいまちづくりにつなげていきたい」と話している。