28年度各種決算を認定、9月定例会が閉会/大船渡市議会
平成29年9月21日付 1面

大船渡市議会9月定例会は20日、最終本会議を開いた。議長を除く全議員で構成する決算審査特別委員会(今野善信委員長)に付託した、平成28年度一般会計と各種特別会計などの決算を認定。本年度の各種補正予算や来春供用開始予定の市防災観光交流センター設置管理に関する条例案なども原案通り可決した。この日追加提出された議案1件は人事案件で、今野洋二教育長(66)=大船渡町字新田=の任期満了に伴い、新教育委員会制度で市長が任命提案した市立博物館長の小松伸也氏(61)=盛町字御山下=を新教育長に選任することを同意した。
新教育長に小松氏(市立博物館長)

小松伸也氏
この日は議員19人が出席。認定されたのは28年度一般会計をはじめ、魚市場事業、介護保険介護サービス事業勘定、同保険事業勘定、簡易水道事業、漁業集落排水事業、後期高齢者医療、公共下水道事業、国民健康保険事業勘定、同診療施設勘定の9特別会計と水道事業会計の各決算。今野委員長の審査報告後、全会一致で認定を決めた。
一般会計と9特別会計を合わせた歳入・歳出予算の総額803億6418万円に対し、決算総額は歳入755億6067万円(執行率94・0%)、歳出696億4323万円(同86・7%)。差し引きは59億1744万円(一般会計55億7170万円、特別会計3億4574万円)となり、黒字を計上した。
決算額を前年度と比べると、歳入は50億3884万円(6・3%減)、歳出で7億8202万円(1・1%減)の減。差引額は42億5681万円(41・8%減)の減となった。
市政運営の柱となる一般会計は歳入決算額621億239万円(執行率94・4%)、歳出決算額565億3069万円(同86・0%)となり、執行率は歳入、歳出ともに前年度を上回った。
この日審議した当局提出議案は、追加の人事1件を含む18件。29年度の一般会計と6特別会計の補正予算案、市防災観光交流センター設置管理などの条例案、細浦地区道路改良事業に伴う大船渡線細浦駅構内細浦こ道橋新設工事委託にかかる変更協定の締結などで、いずれも原案通り可決された。
市防災観光交流センター設置管理に関する条例は、大船渡町のJR大船渡駅前で30年春の供用開始を予定する同センターの設置について、位置や開館時間、利用料金などの必要事項を定めるもの。同センターは津波発生時における緊急避難の場所を確保するとともに、観光資源に関する情報の発信、市民らの交流の場を提供し、安全でにぎわいのあるまちづくりにつなげようと設ける。
議員らは、「開館時間外における災害時の対応は」「維持管理費用は年間どのくらいか」などと質問。このうち、年間の維持管理費用について今野勝則市街地整備課長は「概算見積もり段階で、大まかには2000万円前後になるのではないかと考えている。具体的な維持管理にかかる委託料は、来年度予算に計上することになる。今後、指定管理者制度を有効に活用して収益を確保し、低減を図れるよう検討していきたい」と答えた。
補正予算は、人件費、Y・Sセンター等維持管理事業に関する経費、放課後児童健全育成事業の国県補助金の補助基準額改定に伴う事業費の調整、漁業集落防災機能強化事業や埋蔵文化財調査事業といった復旧・復興に関する経費など。歳入、歳出にそれぞれ3億270万円を追加し、総額を434億9570万円とした。
今月30日(土)で任期満了となる今野教育長の後任は、新教育委員会制度において新たに市長が任命を提案。9代目となる新教育長として、小松氏の選任に同意した。任期は10月1日(日)から3年間。
請願のうち、総務常任委(今野善信委員長)に付託された「日本政府がすみやかに核兵器禁止条約に署名し、国会が批准することを求める」(原水爆禁止気仙地区協議会提出)は、委員長報告では賛成少数で不採択となり、田中英二議員(日本共産党大船渡市議団)と三浦隆議員(新政同友会)が賛成、平山仁議員(改革大船渡)が反対の立場から討論を展開。起立採決の結果、賛成5、反対13で不採択となった。
教育福祉常任委(滝田松男委員長)に付託された「東日本大震災被災者の医療費窓口負担の免除継続を求める」(県保険医協会など提出)は、委員長報告の通り採択。国などには医療費窓口負担の免除を、県には免除継続をそれぞれ求める意見書を提出することとした。
閉会後、今月末で退任する今野教育長が議員らにあいさつ。22年4月の就任から2期7年6カ月にわたる教育長の職務を振り返り、「就任して約1年後に東日本大震災が発生し、教育行政の停滞を起こさせてはならないとの一心で、被災した教育環境の復旧復興、児童生徒の心のケアと学力の向上、地域コミュニティーの再生などに全力で取り組んできた。震災からの復興という歴史的にも重大な局面において職務に従事したが、皆様からのご指導、ご協力で何とか務めることができた」と謝辞を述べた。
新教育長の略歴
小松伸也氏(こまつ・しんや)大船渡市盛町出身。昭和54年国士舘大学政経学部卒業。盛小教頭や市教委学校教育課長などを経て、胆沢愛宕小、盛小、大船渡一中で校長を歴任し、平成28年3月に定年退職。同年4月から市立博物館長を務める。昭和31年1月4日生まれ。住所は大船渡市盛町字御山下。