木工団地「早期一体経営を」、就任後初の論戦で町長/住田町議会9月定例会

▲ 一般質問初日は4議員が登壇=住田町

 住田町議会9月定例会は21日に開会し、会期を10月2日(月)までの12日間と決めたあと、瀧本正德、林﨑幸正、菅野浩正、村上薫(いずれも無所属)の4議員による一般質問が行われた。神田謙一町長就任後初めてで、三陸木材高次加工協同組合(三木)や協同組合さんりくランバー(ランバー)に町が行った融資対応などで論戦。三木、ランバーについて神田町長は、けせんプレカット協同組合を含め木工団地を形成する3事業体の経営一体化が望ましいとし、前町長時からの流れを汲みながら早期解決を図る姿勢を示した。

 

4議員が一般質問

 町は平成18年4月と19年10月、20年1月に、三木とランバーに計7億9000万円を融資。26年度から年間約3100万円を町へ償還する計画だったが、27年度の償還は222万円、28年度は450万円にとどまった。
 また、集成材加工施設賃借料は6829万円、町有林原木未納額は2億2584万円に上る。両事業体の26〜28年度決算が赤字となり、町側は事業運営での回収は厳しいと判断。神田町長任期前の7月11日に開かれた町議会臨時議会で、町当局は計10億円超の支払いを求める調停を申し立てるための議案を提案し、賛成多数で可決された。
 調停を巡る対応を取り上げたのは林﨑議員。「前町長からどのような引き継ぎを受けたのか」「今後、町長としてどのように進めていくのか」とただした。
 町長は「調停による町債権の整理で、3事業体の一体経営が図られるよう努めていきたい。木工団地は森林・林業のまちづくりを推進に向けた核となる施設。経済効果、雇用確保、川上から川下までの林業システムの循環のためには欠かせない」と答弁。前町長からは「債権整理の方向性について、議会全員協議会や住民懇談会の場で一定の理解を得られていると説明を受けている」とした。
 林﨑議員はさらに、いまだに調停申し立てに至っていない現状を追及。横澤孝副町長は「2事業体は、新理事長決定に伴う定款変更の登記手続きを進めている。町としては、10月中には調停申し立てを行いたいと考えている。12月中、または年明け早々には(調停額が確定する)決着に持ち込みたい」と語った。
 トップ登壇の瀧本議員は、町施設の有効活用と管理体制について質問。遊林ランド種山や農林会館などの現状と、今後の計画について説明を求めた。
 種山の遊林ランドは来訪者減や施設老朽化などを受け、現在は利用予約があった時に開場する形をとっている。町長は「町にかかわるボランティアやネットワークなどを活用して、指定管理者として手を挙げている人を探している」と語った。
 現役場庁舎に隣接する農林会館は昭和56年に整備され、文化活動の拠点としても活用されてきた。町長は、役場町民ホールの活用に伴い、使用回数は減少傾向にあるとした一方で「年間で大ホール87回、1階の多目的ホールは153回、2階の学習室は57回の利用があり、随時修繕を実施しながら今後も有効に活用したい」と述べた。
 町が今年まとめた第6次農業基本計画を取り上げたのは、菅野議員。「(先月22日の)町長所信表明演述に『新規就農については、経営安定のための支援制度等や外部資本の導入を模索する』とあったが、どのような施策を考えているか」と質問した。
 町長は、町内における農業産出額の96%は畜産が占め、経済的にも重要な位置付けにあると説明。そのうえで「多くは関東方面に本社を置く事業所の経営で、本町の人材をできるだけ雇用して事業を展開しているが、最近は地元内での人員確保が厳しく、経営規模拡大を考えても難しい状況」との認識を示した。
 そのうえで「今後も地元人材の確保は進めていただきたいが、経営規模の拡大に向け、本社で採用した人材を住田に配置させ、最終的には住田の町民として迎え、人口維持に結びつけていきたい。この考えは畜産だけでなく、他の分野でも同様」と意欲を込めた。
 村上議員は、7月に行われた町長選挙を巡る動向で質問。「今回の町長選挙では、有権者は立候補に至った思いや、どんな政策をしたいかを直接聞きたかった。告示前に陸前高田青年会議所が公開での政策討論会開催を打診した時に、神田町長は断ったと聞く。大事な機会をなぜ断ったのか」と迫った。
 町長は「選挙に関して、私は初挑戦。少しでも住民の方々と直接対話をする時間を設けたいと考えていた。そういう中で、お断りをした」と答弁。さらに「盛り上がりに関しては、投票率(81・60%)をみればそれなりの評価をしていいのではないか」と述べた。
 今定例会には本年度各会計補正予算をはじめとした議案8件、請願と陳情各1件、27年度各会計決算の認定案件が上程されている。日程次の通り。
 ▽22日=本会議(一般質問)、決算審査特別委、常任委▽23〜25日=休会▽26日〜28日=決算審査特別委▽29〜10月1日=休会▽2日=本会議(議案審議、決算審査特別委報告など)