不漁もなんの大船渡港水揚げのサンマ3333匹提供、旬の味覚で大船渡をPR/東京タワーさんままつり(動画、別写真あり)
平成29年9月24日付 1面

本州一の水揚げ実績を誇る大船渡のサンマを首都圏でPRするイベント「三陸・大船渡東京タワーさんままつり」(同実行委主催)は23日、東京都港区の東京タワー屋外特設会場で開かれ、都内外から集まった多くの来場者でにぎわった。サンマ漁は今季も不漁が続いているが、この日はまつりのために確保した大船渡港水揚げの新鮮サンマ3333匹を、炭火焼きにして無料で提供。旬の味覚を堪能した来場者らに、復興へと歩むまちと水産業の元気な姿を発信した。
炭火焼きを無料で来場者に
同まつりは、「三」陸、「サン」マ、東京タワー開業の昭和「33」年、タワーの高さ「333」㍍という「さん」のつながりを生かして大船渡の知名度向上を図ろうと平成21年にスタートした。
今年も市や県、市内の観光、水産、飲食店などで構成する実行委(委員長・戸田公明市長)が主催し、日本電波塔㈱が共催。首都圏さんりく大船渡人会、鹿児島県肝付町、千葉県山武市、酔仙酒造㈱、全日本学生応援団連盟が協力、東京都と港区観光協会が後援した。
9回目を迎えた今年は、漁期序盤からのサンマの不漁により開催が懸念されたが、20日にまとまった水揚げがあり、予定通り催された。
この日は、開会前の早朝から多くの人が旬の味覚を求めて列をなした。
開催式では、戸田市長のあいさつに続き、武井雅昭港区長、日本電波塔㈱の前田伸代表取締役が歓迎の言葉を述べた。このあと、アカペラカルテットの 「XUXU」が地域応援ソングの「オラ!サンマ!」を熱唱し、まつりの雰囲気を盛り上げた。
会場では、各地から訪れたさんま焼き師のボランティアや実行委らがサンマを焼き、肝付町の「辺塚だいだい」、山武市の「サンマによく合う醤油と塩」、大根おろしを添えて提供。行列をつくった来場者らは、焼き上がったばかりのサンマを手に取り、秋の味覚をおいしそうに頬張っていた。
最前列の安井義則さん(74)=目黒区=は午前4時から並んでいたといい、「第1回から毎年来てます。焼きたてはやっぱりおいしい。一生懸命サンマを取ってくれた人たちにも感謝」と笑顔でサンマを味わっていた。
同日は、さんますり身汁の販売や特産品コーナー、東京タワーを巡るスタンプラリーも実施。ステージイベントでは、全日本学生応援団連盟による大船渡応援エールや、濱守栄子さんの歌、東京タワーアテンダントチームによるパフォーマンスなど、さまざまな催しが行われた。
このほか、さかなグルメのまち大船渡実行委による「さんま大漁旗コンテスト」の投票なども行われ、首都圏で広く大船渡を発信。焼き師ボランティアとして埼玉県入間市から参加した栗原正明さん(59)は、被災地支援の地域団体代表を務めており、来月末には入間で被災地復興支援イベント「三陸大船渡さんままつりin入間」を開催する。「それを機に、入間と大船渡に人的な交流が生まれれば」と被災地に心を寄せる。
大船渡市観光物産協会の金野博史事務局長は「昨日、今朝と準備段階で雨が降っていたが、晴れてくれて一安心。不漁が続いていても『大船渡のサンマでなければ』と思っていたので、なんとか数量を確保でき、それを食べてもらえてよかった」と話していた。