心を込めて〝ようこそ〟、「飛鳥Ⅱ」寄港を歓迎/大船渡市(動画、別写真あり)

▲ 昨年6月以来の入港を果たした「飛鳥Ⅱ」を市民が歓迎=大船渡港

観光大使委嘱後初

 郵船クルーズ㈱が運行する国内最大の客船「飛鳥Ⅱ」(増山正己船長、5万142㌧)は26日、大船渡市の大船渡港野々田ふ頭に入港した。昨年6月以来14回目、おおふなと特別観光大使委嘱後は初の寄港となり、乗船客や乗務員らを市民たちが心を込めて歓迎。大船渡港には1泊し、27日午前10時の出港を予定する。
 飛鳥Ⅱは全長241㍍あり、昨年6月には市から第1号となる特別観光大使に委嘱された。今回は自社クルーズ「秋の日本一周クルーズ」の一環として、乗船客、乗務員を合わせて1172人が大船渡を訪問。先代の「飛鳥」から数えると、32回目の寄港となった。
 この日は好天に恵まれ、ふ頭には市民や市の関係者ら約250人が飛鳥Ⅱを出迎え。綾里大権現保存会による綾里大権現の披露と、大船渡商工会議所女性会の太鼓演奏が歓迎ムードに花を添えた。
 入港歓迎セレモニーでは、戸田公明市長が「大船渡への寄港を祝し、思い出深い滞在とすべく、さまざまな企画を用意した。市民との触れ合いを通じ、滞在時間を楽しんで絆を感じてほしい」とあいさつ。
 増山船長は、東日本大震災からの復興へと歩む大船渡を激励し、「大船渡港は、初代の飛鳥からのつきあいの長い港。短い時間ではあるが楽しんでいきたい」と述べた。
 ふ頭にはテントが並び、観光案内所や大船渡の特産品販売コーナーなどを開設。大船渡港秋の味覚まつり無料試食コーナーも設けられ、サンマの炭火焼きや郷土料理を振る舞って乗船客らをもてなした。
 乗船客の荒木候滋さん(62)、眞弓さん(61)夫妻=東京都=は、飛鳥Ⅱで3回目の大船渡訪問となった。候滋さんは「4年前の大船渡はあまり復興が進んでおらず、昨年来たときにはだいぶ復興してきたが、まだまだ大変だと感じていた。今回もまちの様子を見て回りたい。大船渡の物産品を買うなどして、復興を応援できれば」と話していた。
 また、特別観光大使委嘱後の初入港を記念した船内見学会には、抽選で選ばれた市民ら80人が参加。乗務員の案内で船内のさまざまな部屋や設備を見て回り、短い時間ながらも船旅気分に浸った。
 一関市から参加した男性(80)は「船内に入ったのは初めて。すばらしかったし、たいしたものだと思った。一度は船旅をしてみたいね」と笑顔を見せていた。
 夕方には、寄港御礼アトラクションとして大船渡保育園児が「ししおどり」を披露。夜には船内での乗船客イベントで赤澤鎧剣舞などが繰り広げられたほか、水中花火の打ち上げも行われ、乗船客らは温かみある演出の中で一夜を過ごした。
 27日は午前8時55分から出港セレモニーを開き、綾里と吉浜の両こども園、日頃市、末崎、明和の各保育園、末崎小学校の子どもたちが踊りや郷土芸能を、綾里大権現が舞を展開し、寄港への感謝を伝える。出港は同10時を予定しており、参加者全員で黄色いハンカチと紙テープによる見送りを行う。