45フィート コンテナ車両 県内で初めて公道走行、国道3ルートを調査/大船渡市(別写真あり)
平成29年9月30日付 1面

大船渡市と大船渡港物流強化促進協議会は29日、45フィート海上コンテナ運搬車両による公道走行実証実験を実施した。今後利用の可能性がある同車両を公道で走らせる試みは、県内では初めて。この日は大船渡港から内陸部へ向かう国道107号、同397号、同343号の各ルートを走行し、交差点や道幅が狭い箇所などの通行状況を調査。市では今後、調査内容を分析し、結果を道路整備に向けた県への要望活動に生かしていくとしている。
大船渡港〜内陸で実証実験
結果は道路整備要望へ
現在、国内では40フィートコンテナの利用が主流だが、27年6月に国の基準が緩和され、45フィートコンテナの公道輸送ができるようになった。
45フィートコンテナは長さが13・7㍍と40フィートより1・5㍍長く、積載率も13%程度の向上が可能。より多くの荷物の積載や、40フィートでは収まらなかった大型・長尺貨物の輸送ができ、コンテナ数の削減にもつながるといわれる。
市などによる実証実験は、大船渡港における物流機能の強化を図るために初めて計画。同港から内陸部との運行経路として利用されている国道107号、同397号、同343号の各ルートを対象に、45フィート海上コンテナ運搬車両を実際に走らせて道路の現況を調べることとした。市では、北上山地へのILC(国際リニアコライダー)誘致促進にも力を入れており、実現すれば資機材の運搬に45フィートコンテナの利用が見込まれることも視野に入れた。
実験には、市建設課や企業立地港湾課、関係機関の職員ら21人が参加。空のコンテナを利用し、45フィートコンテナの運搬経験がある宮城県内のドライバー1人が運転を務めた。
参加者らは、赤崎町の大船渡港湾永浜山口地区に集合後、午前8時45分に実験を開始。前後には市職員が乗車した車両が付き、まずは107号・397号ルート(総走行距離約150㌔)を調査した。
同ルートでは、大船渡警察署前から国道45号に出て、107号を通過。遠野市宮守町地内で折り返したあと住田町世田米の小股交差点まで戻り、奥州市江刺区伊手まで397号を走った。
午後1時30分ごろにスタート地点に戻り、次は同50分に大船渡町の大船渡港湾野々田地区から343号ルート(同約40㌔)の調査を開始。45号から陸前高田市内に入り、343号を利用して一関市大東町大原で折り返し、同4時前に終点のタピック45に到着した。
市によると、実験はほぼスケジュール通りに進行。各ルート上で特に課題となる交差点や急カーブ、トンネル、道幅が狭い箇所では写真なども撮影し、今後の分析、検討に備えた。
実験を終え、市の西山春仁都市整備部長は「運転手からは、いずれのコースも交差点を曲がる際やトンネルを通過するときに厳しさがあり、でこぼこが気になった箇所もあったと聞いた。今後、分析を進め、県への道路整備要望に生かしていきたい」と話していた。
結果は今後予定する「物流等の円滑化と活性化を図る道路ネットワーク検討会」でも報告する計画としている。