中心地のにぎわい〝加速〟、「まちなかテラス」が開業/陸前高田市(動画、別写真あり)

▲ 5軒のうち4軒がオープンを迎えた「まちなかテラス」=高田町

 陸前高田市内の5事業者が設立した合同会社ベース(磐井正篤代表)が、高田町の中心市街地に整備を進めていた商業施設「まちなかテラス」が1日、4店舗同時オープンを迎えた。個店が立ち並ぶ光景は、市民が待ち望む〝商店街の復活〟に一歩近づくもの。同日は通りを挟んで向かい合う「まちなか広場」にも新たな交流施設が誕生し、にぎわいの創出と商業再生を目指す動きに、さらなる拍車がかかるものと期待される。

 

 同社は、高田町で被災した酒と器・和雑貨の店いわ井、そば処やぶ屋、中華食堂熊谷、美容室ZEN、パティスリーkankyu(菅久菓子店)の5店が、ともに再建を目指して設立。同菓子店は補助金に係る制約から建築工事が別となったが、4店舗は今年7月に上棟式を行った。
 中心市街地は、4月にアバッセたかたがオープンしたあと、個店も戻り始めている。中でも「商店街」の形をなすまちなかテラスは、文字通り「まちなかを〝照らす〟」存在として、また、再建を果たそうと後に続く商工業者の〝灯台〟として、大きな存在感を示すものとみられる。

調理スペースや大テーブルを備えた「ほんまるの家」=同

調理スペースや大テーブルを備えた「ほんまるの家」=同

 この日は開店時間前から店舗前に長蛇の列ができ、店内も混雑。飲食店であるやぶ屋と中華食堂熊谷の行列は昼時間を過ぎても途切れることがなく、いずれの店先でも、客が店主らに「おめでとう」「待ってたよ」と声をかける光景が広がった。 
 また、ボランティア活動によって同市と縁ができたという県外からの訪問客の姿も。日本赤十字茨城支部に所属する細田勉さん(65)は仲間たち15人ほどと6年ぶりに訪ねたといい、「本当ににぎやかになった。何か食べたり、お土産を買ったりして役に立ちたい」と語った。
 磐井代表(60)は、「やっとまちなかへ戻ってきた。ちょっと表へ出れば、隣近所とあいさつを交わし合える。『やっぱりまちが好きだ』とつくづく思う」と、複数の事業者でともに再出発できたことを喜び、「商売をやっている人だけでなく〝おんつぁん、おばちゃん〟たちと花を植えたり、みんなでまちを盛り上げたい」と、今後の市街地づくりにも思いをはせた。

交流施設も供用開始、愛称は「ほんまるの家」に

 

 市は同日、テラスと隣接する「まちなか広場」に移築された交流施設の完成記念式典を開催。同広場に新しく設けられたバスケットゴールではフリースロー大会も開かれ、一帯は終日、子どもから大人まで大勢の市民でにぎわった。
 この交流施設は栃木県宇都宮市にあったもので、世界的に著名な建築家・伊東豊雄さんが設計。東京ガス㈱が所有していたが、「住民の交流スペースにしてほしい」と同市へ寄贈された。
 この日は市立第一中吹奏楽部が完成を祝して演奏を披露。戸羽太市長が「広場は4月の供用開始以来、連日多くの皆さんにご利用いただいているが、これでさらに小さいお子さまからご年配の方まで楽しめる場所になった」とあいさつ。式典の最中も、子どもたちが広場を駆けながら上げる楽しそうな声が響き、セレモニーに温かみを添えた。
 同施設はこれまで「SUMIKAパヴィリオン」の名で知られていたが、同市で〝第二の人生〟を歩むにあたり、愛称を「ほんまるの家」に変更。本丸公園通りに接していること、中心市街地における〝家〟のような存在となってほしいという思いが込められた名称で、式典に出席した同社の内田高史副社長と伊東さんはそれぞれ、「皆さんの憩いの場に」「まちの復興の一助となれば」と市民の活用を願った。
 施設の指定管理は陸前高田商工会が担い、開館時間内であれば常時見学できる。室内には広いキッチンと大きなテーブルがあり、小規模のイベントに対応。貸し切り利用も可能となっている。