2017衆院選/「大変化」の中 あす公示、自民前職と希望元職の対決へ

▲ あす10日に公示を迎える衆院選のポスター掲示板=大船渡

 解散に伴う衆議院議員総選挙は10日(火)公示され、22日(日)の投開票に向けた選挙戦に突入する。気仙2市1町を含む岩手2区(定数1)では、自民党の前職と希望の党の元職が立候補を予定する。「1票の格差」是正に向けた区割り改定が初めて適用される選挙。2区は盛岡周辺から県北までの内陸部と沿岸部すべての計23市町村で構成し、その面積は本州一の広さに。気仙出身の前職勇退などもあって選挙情勢は大きく変化しており、決戦の行方が注目される。 

 

 安倍晋三首相は、再来年秋に予定する消費税率10%への引き上げで5兆円とされる増収分の使途を見直し、全世代型の社会保障を手厚くすること、ミサイル発射を続ける北朝鮮への外交的圧力強化などについて国民の信を問う考えを示し、先月28日招集の臨時国会で衆議院を解散した。
 解散総選挙は平成26年12月以来。今回は区割り改定が反映され、小選挙区は従前の295から289に減る。全国を11ブロックに分けた比例代表は180から176となり、このうち東北ブロック定数は14から13に。小選挙区と比例の合計は465議席で、戦後最少となる。
 旧2区に新しく気仙など4市3町が加わるなどした2区では、自民党前職で五輪担当大臣の鈴木俊一氏(64)、希望の党公認で元職の畑浩治氏(54)の2人が立候補を予定。ほかに擁立の動きはなく、旧2区で過去も戦ってきた両氏の一騎打ちとなることがほぼ確実となっている。
 旧3区で6選を果たしてきた民進党前職の黄川田徹氏(63)=陸前高田市=は、目の持病の悪化を理由に勇退を表明。大船渡市出身で2期連続で比例復活当選した自民党前職の橋本英教氏(50)は今回、比例単独候補となる。
 旧2区でしのぎを削ってきた鈴木、畑両陣営は、今回加わった4市3町での集票が選挙区の選勢の鍵を握るとみて、気仙でも前職両氏にかかる党支部や後援会といった既存組織を頼りに、浸透を図るべくあいさつ回りなどを展開。
 また、衆院選をめぐり、県内野党は昨年中に畑氏を統一候補とすることで合意。選挙戦は自民、公明の連立与党対共闘の野党という構図で展開すると見られてきたが、解散に前後して新党・希望の党と民進党が合流方針を打ち出し、民進党県第2区総支部長だった畑氏が希望の公認を得たことで、規定路線に変化が生じた。
 共産と社民両党の県組織は、希望との憲法改正などにかかるスタンスの違いから、自主投票とする方針に転換。両党は独自候補を擁立しないことも明らかにしており、支持層の〝受け皿〟がないままとなっている。
 こうした状況で迎える公示日は、県庁での立候補届出後、鈴木氏は宮古市の宮古駅前、畑氏は滝沢市の事務所前で第一声を上げ、広い選挙区の遊説に出発する予定だ。
 県が9月1日現在でまとめた選挙人名簿登録者数は、気仙2市1町合計で5万4534人(男2万6088人、女2万8446人)、2区全体では39万3773人(男18万8567人、女20万5206人)となっている。