未来見据え「林業勉強会」、若手従事者ら集い意見交換/住田

▲ 各グループで出た意見を発表しあいながら認識を共有=世田米

 住田町林業振興協議会(会長・神田謙一町長、事務局・町林政課)による「林業勉強会」は11日夜、世田米の気仙地方森林組合で開かれた。林業などに従事するおおむね50歳以下の若手職員が参加。意見交換の中では、人手不足や再造林促進など課題が浮き彫りになった。今後も広く参加を呼びかけながら継続的に開催し、森林・林業活性化につなげることにしている。

 同協議会によると、過去に視察研修や再造林支援策を探るなどの取り組みはあったが、東日本大震災や担当者の異動などで途絶えがちになっていた。今回は改めて林業について考える場をつくり、課題解決に向けた視察や事業試行といった取り組みも見据えながら継続的に行おうと企画した。
 気仙地方森林組合や素材生産業者、行政分野の各関係者に加え、町地域おこし協力隊員ら14人が参加。前半は町林政課の岩田隆典副主幹が、森林・林業の現状について解説した。
 国内の人工林資源は半分以上が伐期を迎え、住田町でもほぼ同様の傾向にあると説明。持続可能な活用には、伐採・再造林が必要になっている流れを示した。
 昭和30年代以降、輸入丸太や輸入製品の割合は拡大し続けてきたが、全国の木材自給率は平成14年の18・8%から上昇に転じ、現在は30%超。輸入丸太の安定供給が行われなくなり、国産材のシフトが進みつつある現状にもふれた。
 輸入分のほとんどは現在、製品による輸入。丸太輸入の減少により、合板では国産材の割合が拡大しているという。
 全国的に森林・林業分野では所有者や境界の分かりにくさ、造林コストの高さなどが課題に。さらに、住宅向け木材需要は頭打ちの状態で、新たな国産材需要の創出が求められている現状も伝えた。
 後半は2グループに分かれて意見交換。現場作業などで感じる課題を伝えながら、今後の勉強会でどのような方策を語り合うかなどを考えた。
 一つのグループでは、人手不足が課題として挙がり、「林業は植えてから利益になるまでの期間が長い。体験や情報発信の機会も少ない」といった指摘があった。そのうえで、関東圏などに林業の仕事をアピールしながら人口減対策にもつなげ、雇用する地元業者に財政的な支援を行うといったアイデアが寄せられた。
 別のグループでは、再造林促進について多くの時間が割かれた。住田町では特に、私有林での再造林率が低いとされている中で「個人では管理が難しい森林を町有化し、雇用創出や木材安定供給につなげるべき」との声や、森林の信託化に向けた研修の場を設ける必要性などが話題に上った。
 このほか、出席者からは「やはり、若い世代をどう取り入れていくかが重要」「事業所や組合の代表をやっているわれわれよりも上の年代が、住田の林業をどうしていこうと思っているか聞きたい」といった意見も。同協議会では今後も広く参加を呼びかけながら、勉強会の開催を重ねることにしている。