就労後押しへ「ポプラ」開設、沖縄と大船渡の有志ら

▲ 村田さん(前列左)ら「ポプラ」のスタッフたち=大船渡市大船渡町

障害者支援に手携える

 

 沖縄県中城村を拠点に障害者福祉サービスを展開する一般社団法人「みらい」(稲嶺積代表理事)はこのほど、東日本大震災を機に交流を続ける大船渡市の有志とともに、障害者の就労を後押しする就労継続支援事業所・就労移行支援事業所「ポプラ」を同市内に立ち上げた。復興支援は、障害者の社会参加促進という形で結実。距離を超えて運営に力を合わせていく。
 両者の交流は、大船渡町で印刷・撮影業を営む村田友裕さん(65)が、震災後間もなくに発刊した写真集『気仙の惨状』をきっかけとして始まった。
 写真集に感銘を受けた沖縄の有志が、福祉作業所の益金をもとにして市内の小学校と支援学校13校へ図書を贈呈。それ以降は、「戦災と震災を学び合う機会を」と、沖縄と大船渡の子どもたちの相互訪問活動などを続けている。
 「ポプラ」の開設は、交流開始当初からアイデアがあったものという。「みらい」の大船渡作業所として開設する計画で村田さんら大船渡市の有志へ声掛けがあり、今年5月ごろから開設準備が本格化していった。
 大船渡町字笹崎の国道45号沿いにある複合ビル・エリタージュASANOの一角を借り、就労継続支援A型と就労移行支援を併せた多機能型として、先月19日付で県の認可を受けた。
 スタッフは5人体制。村田さんが所長となり、「みらい」の伊波沙織さん(37)がサービス管理責任者として常駐。事務長は、今年閉鎖した仮設飲食店街の大船渡屋台村で「らんぷ亭」を営み、気象庁で勤務した経験を持つ諸岡久雄さん(67)。その妻の悠子さん(62)と、陸前高田市内の施設勤務経験がある佐々木宏一さん(40)が生活支援員を務める。
 就労継続支援は、障害者に就労の機会を提供するとともに、生産活動などの機会提供を通じ、知識や能力向上のために必要な訓練をするもの。A型は、作業所利用者と雇用契約を結んだうえ一般就労に向けた訓練を行う。
 気仙では、雇用契約がなく一定の工賃を支払うB型が主流となっており、今回は新たなチャレンジ。村田さんは「身体や精神に障害があるイコール働けないということではない。ここを地域や社会との接点にしていきたい」と意欲的だ。
 伊波さんによると、沖縄の作業所は事務補助や農作業、弁当調理販売が主になっているといい、「海産物関連など大船渡ならではの仕事もしていければ」と将来図を描く。
 現在は事業所の周知を図っている段階で、今月27日に陸前高田市コミュニティホールで開かれる「気仙地区障がい者就職相談会」(大船渡公共職業安定所、岩手労働局主催)にもブースを出すという。
 利用などに関する問い合わせは、ポプラ(℡22・8415、午前9時~午後5時)へ。