前回調査から2地点下落、被災地の移転需要鎮静化で/気仙の短期地価動向

 県は、東日本大震災で被災した沿岸南部6市町で、四半期ごとに短期地価動向調査を実施している。最新の調査(平成29年7月1日基準日)によると、調査対象となっている気仙両市の住宅地、商業地合わせて6地点の地価(1平方㍍あたり、以下同)は、前回調査(29年4月1日基準日)から陸前高田市の住宅地1地点が横ばいから下落に転じた。このほか、大船渡の1地点は前回と同じ下落率で、残る4地点は横ばいだった。
 調査は、被災地の地価上昇や投機目的の買い占めなどが懸念される中、国土利用計画法の規定に基づく監視区域の指定について検討するために、一般社団法人岩手県不動産鑑定士協会に委託して実施。当初は沿岸12市町村を対象としていたが、現在は土地取引が活発に行われる可能性の高い沿岸南部地域19地点(住宅地16地点、商業地3地点)で継続している。
 最新の調査によると、大船渡市の住宅地(3地点)の平均価格は3万円で、変動率は前回調査時と同様マイナス0・4%。
 調査地点別に見ると、猪川町字前田は3万9200円、盛町字宇津野沢は3万2200円で前回調査から横ばい。末崎町字大田は1万8600円で、変動率は前回調査と同じマイナス1・1%。
 震災前(22年7月1日)の価格比では、前田が3・3%増、宇津野沢が1・9%増、大田が参考価格比で1・0%の増。
 陸前高田市の住宅地(2地点)の平均価格は1万9500円で、前回調査からの変動率はマイナス0・3%。
 調査地点別では、米崎町字松峰が1万6700円で変動率がマイナス0・6%となり、横ばいから下落に。高田町字鳴石は2万2300円で、前回調査から変動なし。震災前の価格比では、松峰が0・4%増、鳴石が参考価格で3・4%増となっている。
 一方、商業地の調査地点となっている大船渡市盛町字内ノ目の地価は5万5500円で、前回調査から変動はなかった。震災前比では1・0%増。
 地価動向について、県は「投機目的などの悪質な土地取引は確認されていない」と分析。今後の動向は「全体的な基調として、被災者の移転需要が沈静化してきていることから、地価が急激に上昇する可能性は低い」と予測している。

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