古き良さで門出祝福、昔ながらの手づくり結婚式/住田町(動画、別写真あり)

▲ 祝福を受けた貴洋さん(左から3人目)と祥子さん(同4人目)夫妻=下有住・松日橋

 住田町内で15日、伝統的な慶事の風習を再現する「昔ながらの手づくり結婚式」が行われた。黒紋付きと振り袖姿の新郎新婦が各地を練り歩き、古き良きたたずまいがある世田米商店街や松日橋などを彩った。各地での「送り酒」「迎え酒」には多くの住民が詰めかけ、町を挙げての祝福ムードに包まれた。

 

 松日橋も晴れ舞台に 

 

 町内では花嫁道中や新郎宅での「三三九度(さんさんくど)」などが行われてきたが、近年は見られなくなった。人々の記憶を紡いでいこうと町からの助成を受けた同結婚式実行委員会が主催し、2月以来の挙行となった。
 祝福を受けたのは、東京都の安藤貴洋さん(30)と祥子さん(27)夫妻。貴洋さんは平成27年10月から1カ月間、農林水産省の職員研修で下有住に滞在し、住田を知った。農業や伝統文化にふれてファンとなり、研修後も頻繁に足を運んでいる。今年7月6日には、祥子さんと2人で住田町を訪れ、婚姻届を提出した。
 今回は、交流が深い下有住の佐々木照美さん(66)宅を新婦宅として挙行。仲人は、佐々木さんと多田欣一前町長が務めた。佐々木さん宅では、新婦を仲人に預ける盃事や、送り酒が行われた。 
 古式ゆかしい新郎新婦や仲人、両親役の「御諸親(おもらい)」、親族役の「脇諸親(わきもらい)」らが列をつくり、世田米の昭和橋を渡ってまち家世田米駅に到着。送り酒や記念撮影が行われ、多くの地域住民から祝福を受けた。
 結婚式会場の下有住地区公民館に向かう途中、松日橋にも立ち寄り、古式ゆかしい晴れ姿と古き良きたたずまいが共演。住田ならではの風景が、祝福ムードに包まれた。
 館内では新婦を迎える盃事に続いて結婚式が始まり、新郎新婦が永遠の契りを交わす三三九度の盃事に入った。住民手づくりの膳料理が並び、乾杯後は『さんさ時雨』『外舘甚句』による祝いの舞が繰り広げられた。
 貴洋さんは「住田で家族やきょうだいと同じような関係になった人たちが増え、結婚式を住田で行いたいと思っていた。各地での一歩一歩に、幸せを感じた」、祥子さんは「彼の夢がかない、私もうれしい」と語り、ともに感激した様子。
 佐々木さんも「古い伝統をきちんとやっていただき、遠くに住む方々も送り酒を行いたいと駆けつけてくれた。感謝でいっぱい」と話していた。
 実行委は11月30日(木)までに希望があれば、本年度さらに伝統的な挙式を運営する計画。申し込みなどの問い合わせは、実行委事務局(下有住地区公民館内、℡48・2531)へ。