現地調査の進展確認、栗木鉄山跡調査指導委員会議/住田町

▲ 礎石が多数残る事務所跡などを確認=住田町

 住田町教委による栗木鉄山跡調査指導委員会議は17日、世田米子飼沢地内の現地で行われた。平成33年度までの国指定文化財申請を見据え、現地では先月4日から内容確認調査が進む。委員らは第一高炉や本社事務所跡の調査状況を確認し、近代的な技術を導入した製鉄技術明確化に向けて意見を交わした。
 指導委員会議は昨年度設置され、本年度は6月に続き2回目の開催。委員は熊谷常正氏(盛岡大学文学部社会文化学科、委員長)小野寺英輝氏(岩手大学工学部機械システム工学科)小向裕明氏(大槌町教委生涯学習課)佐々木清文氏(前・埋蔵文化財センター)の4人で構成している。
 この日は委員に加え、県教委生涯学習文化課担当職員や町教委職員を加えた10人余りが出席。内容確認調査で下部が露わになった第一高炉や、礎石が多数残る事務所跡などの発掘状況を確認した。
 指導委員会議に先立ち12日には文化庁審議官の視察が行われ、製鉄史における栗木鉄山の位置付けや、原料がどこから運ばれたかを明確にする必要性が浮き彫りになったという。この日の会議ではその認識共有を図るとともに、30年度以降調査を行う鋳物工場跡周辺も視察した。
 熊谷委員長は「見て迫力がある炉の下部が出てきており、やはり炉が鉄山跡の目玉になることも確認できた。比較的シンプルな構造で操業していたことが分かる。事務所は応接室的な機能もあり、栗木における中核の施設だったのでは。従業員のためだけでなく、対外的な場であることが改めて分かってきた」と話していた。
 栗木鉄山は明治14年から大正9年まで稼働し、最盛期には銑鉄生産量が日本で第4位(民間では3位)、従業員は500人以上いたとされる。二つの高炉のほか、職員・工員住宅、郵便局や購買、学校も設置され〝製鉄村〟が形成されていた。
 町教委では「栗木鉄山発掘現場見学会」を21日(土)午前10時から現地で開催。参加無料で、18日まで申し込みを受け付ける。
 現地に駐車スペースがないため、役場か遊林ランド種山からバスで送迎する。申し込み、問い合わせは町教委生涯学習係(℡46・3863内線255)へ。