2017衆院選岩手2区/自民・鈴木氏競り勝つ、通算9選「まずは復興完遂に全力」

▲ 支持者とともに通算9度目となった当選を喜び万歳三唱する鈴木氏(中央)=滝沢市

171023-1%e9%9d%a2%e3%83%bb%e9%96%8b%e7%a5%a8%e7%b5%90%e6%9e%9c 第48回衆議院議員総選挙(総定数465)は22日に投開票が行われた。気仙が小選挙区の区割り改定で岩手2区となって初の選挙は一騎打ちとなり、政権与党の一員として復興完遂や地域の振興を訴えた自民党前職の鈴木俊一氏(64)=公明党推薦=が、12万9884票を得て通算9選を果たした。希望の党元職の畑浩治氏(54)は気仙出身で勇退した前職の後継として臨んだが、浸透しきれず約3万1000票差で敗れた。

畑氏(希望)に3万1000票差

気仙2市1町は〝全勝〟

 鈴木氏陣営は、滝沢市の選挙事務所近くのシビックセンターで吉報を待った。午後8時ごろにテレビの速報が始まって間もなく、「当確」の情報が流れると、大きな拍手と歓声が起こった。 
 鈴木氏は妻の敦子さん(63)とともに迎えられ、支持者と万歳三唱し、通算で9度目となった当選の喜びを分かち合った。
 盛大な祝福の中でマイクを握った同氏は、「まさに時間との戦いというような、準備不足の状況の中での選挙だった。従来の2区や新たに選挙区に加わった地域の方々をはじめ、後援会、党支部、推薦をいただいた公明党、そうした皆さんの力に支えられて当選することができた」と、広大な選挙区での戦いを支えた仲間たちに感謝を述べた。
 そのうえで、「これほど広い選挙区の代表として選ばれたということで、責任の重さを強く感じている。選挙戦で訴えたことを着実に実行できるよう頑張っていきたい。まずは復興を完遂することに全力投球する」と決意を語り、被災地出身の担当大臣として復興五輪の成功、ILC(国際リニアコライダー)誘致などにも意欲をにじませた。
 5年近くに及んだ安倍政権の信を問う今回の総選挙。憲法改正や消費税増税などに対する立場の相違も踏まえ、選挙戦は「自民、公明」「希望、維新」「共産、立憲民主、社民」の3極の争いという構図で展開された。
 この中、「1票の格差」是正に向けた区割り改定により、気仙2市1町は沿岸と内陸の計23市町村でつくる2区に編入。選挙区の面積は9652平方㌔㍍で県の総面積のおよそ6割を占め、本州一の広さとなった。
 旧2区時代に過去4回にわたって矛を交えてきた鈴木、畑両氏だが、気仙では新顔として迎えられての対決。連続6選の強さを誇りながら今回勇退した民進党前職・黄川田徹氏(64)=陸前高田市=の票の行方がクローズアップされ、気仙における両陣営の選挙戦は「黄川田票」をいかに取り込むかを軸として繰り広げられた。
 鈴木氏は現職大臣で、首相を務めた善幸氏(故人)を父に持ち、「漁港検診」などで以前から足を運ぶなど知名度で優位に立った。 選挙戦では、政権与党の立場から復興やILC誘致への訴えを強め、潜在的な自民支持層へ波及。大船渡市では新たに同氏後援会が設立されるなど、今後にも連なるとみられる組織的な動きが見られた。
 一方の畑氏は、当初は民進党選挙区支部長で、4野党統一候補として出馬予定だったが、公示直前に民進党が希望の党への合流を決めたことで、希望の公認候補となった。改憲を巡るイデオロギーの相違もあって共産が自主投票に転じるなど、陣立ても足踏みを余儀なくされた。黄川田氏の後継として、同氏も常に傍らに立ちながら浸透に努めたが守勢に回り、広がりに欠けた。
 得票は鈴木氏が大船渡市で2604票、陸前高田市で202票、住田町で147票、それぞれ上回った。
 気仙全体の投票率は63・18%。前回選(平成26年12月)に比べて0・21ポイント下がった。2区全体の投票率は59・61%だった。

鈴木氏の略歴

 昭和28年生まれ。早稲田大学卒。全国漁業協同組合連合会勤務、父・鈴木善幸氏秘書を経て、平成2年の第39回総選挙で初当選。厚生政務次官、環境大臣、外務副大臣など歴任。今年8月から東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会担当大臣を務める。山田町八幡町。64歳。当選9回。

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