大船渡工場が操業80周年、 記念式典で気持ち新たに/太平洋セメント㈱(別写真あり)
平成29年11月3日付 7面

太平洋セメント㈱(福田修二代表取締役社長)が大船渡市赤崎町で運営する大船渡工場(伊沢良仁工場長、従業員158人)は、今年で操業80周年を迎えた。これを記念する式典が2日、大船渡町の大船渡プラザホテルで開かれ、来賓や関係者らが出席。地域に根ざして操業を続けてきたこれまでの年月を振り返るとともに、今後も大船渡の産業、経済をけん引する存在として発展するよう祈念した。
地域に根ざした発展祈念
記念式典には来賓や地域住民、関係者ら約110人が出席。初任地が大船渡工場だという福田社長は「80周年を迎えられ、感慨ひとしお」と述べ、長年にわたって工場を支えてきた地域の理解と協力に深く感謝。「震災からの復興は着実に進んでいるが、防潮堤の工事などさらなるスピードアップが求められるものもある。工場としてはセメントの安定供給を通じ、地域の復興に貢献していきたい」とあいさつした。
来賓の達増拓也県知事(千葉茂樹副知事代読)、戸田公明市長もあいさつ。戸田市長は「大船渡の産業と雇用を支える中核企業として、産業振興に多大なる貢献をいただき、深く敬意と感謝の意を表する」と述べた。
福田社長をはじめ同社役員、来賓らで鏡開きをし、記念すべき節目を祝福。さらなる飛躍に願いを込めながら、田村誠県議の発声で乾杯した。
その後は、出席者同士が大船渡工場の足跡を振り返るなどして懇談。貴重な写真などを用いた80年の歩み紹介、県立大船渡東高校太鼓部による余興も式典を盛り上げた。
大船渡工場は昭和11年に東北セメント㈱が建設し、翌12年に操業(1号キルン運転)を開始。13年には2号キルンも運転をスタートした。
17年には合併により、小野田セメント㈱大船渡工場に。35年には、日頃市町長岩地区での採掘を始めた。
平成6年、秩父セメント㈱との合併により、秩父小野田㈱大船渡工場に名称を変更。同10年には日本セメント㈱との合併で、現在の工場名となった。
23年の東日本大震災では、津波によって工場施設の約7割が被災。しかし、早期に復旧を遂げて災害廃棄物処理の受け入れや復興資材となるセメント製造を再開した。
災害廃棄物は同年6月から26年3月までの間、大船渡、陸前高田などの県内3市2町から受け入れ、約100万㌧を処理。復興のスピードアップにも貢献した。
大船渡市や住田町には原料の石灰石を採掘する鉱山も有しており、気仙とのかかわりは深い。現在は年間約200万㌧のセメントを製造するほか、9月に工場内で国内最大規模の発電出力となるバイオマス発電所の建設工事が着工。先月には、県や市と循環型社会の形成に取り組むための協定を締結している。