今季秋サケ漁・前年上回るも低水準、6日現在で331㌧/大船渡市魚市場
平成29年11月8日付 1面

最盛期が近づく本県の秋サケ漁。県全体の数量(6日現在)は、記録的な不漁に見舞われた平成28年と比べて49%増、大船渡市魚市場への水揚げは66%増となっているが、例年と比べると依然として低い水準にあり、最盛期の11月下旬〜12月上旬にかけての漁模様好転が望まれる。
同魚市場によると、秋サケは8月ごろから姿を見せ始めた。今月6日現在の水揚げ数量は331・739㌧で28年比166・6%。累計金額(税込み)は3億6701万円で同229・1%。1㌔当たり平均単価は1106円で同137・6%となっている。
同魚市場への水揚げは、震災があった23年とその翌年は800㌧台と低迷。25年に2710㌧、26年に2576㌧と持ち直したが、震災による稚魚放流数の減少や海水温の影響により、27年は過去最低の762㌧、28年はそれをさらに下回る525㌧にまで落ち込んだ。
今年は親潮第一分枝が発達していることもあり、10月下旬にまとまった水揚げがあるなど、不漁だった27年、28年を上回るペースで推移している。
しかし、4、5歳魚となって回帰するのは、ふ化場の復旧過程で放流数が減少した24年・25年級とあって、28年度に引き続き資源量の減少が予測されている。
県水産技術センターが漁期前に発表した予報によると、過去の幼稚魚調査の結果と昨年度の年齢別漁獲量から判断した回帰数量は367万匹、1万934㌧で前年を若干上回るものの、震災前(18〜22年度)の平均値は大きく下回る見込み。
県定置漁業協会によると、県全体の6日までの水揚げは25年度比32%減、26年度比39%減、27年度比11%減。前年の28年度比では49%増だが、例年に比べると不漁といえる状況にある。
秋サケは気仙沿岸だけでなく県内定置網漁の主力魚種で、不漁は水産業にとっての大きな痛手となる。市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱の佐藤光男専務は「今月下旬にもう〝一山〟来て、なんとか2000㌧台にまで回復してくれれば」と話している。