販路拡大へ売り込みを、 気仙の14事業所出展し伊達な商談会/大船渡(別写真あり)
平成29年11月9日付 3面

東日本大震災で販路をたたれた事業者に対し、生産・流通の再生を図ろうという「伊達な商談会inOFUNATO」は8日、大船渡市盛町のリアスホールで開かれた。気仙からは14事業所が出展し、東北、首都圏のバイヤー(買い手)10社が参加。展示、個別の各商談会が行われ、事業所側では自社商品をバイヤーらに売り込んで販路拡大を目指すとともに、より魅力ある商品づくりの参考にした。
この商談会は、東北六県商工会議所連合会や宮城県商工会議所連合会、仙台商工会議所、大船渡商工会議所、三陸けせん希望ストリート連絡協議会などが主催。平成25年度に始まり、大船渡では27年度から行っている。
今年は、大船渡市10社、陸前高田市3社、住田町1社、釜石市3社の合計17社が出展。このうち、水産加工品を扱う6社には、復興水産加工業販路回復促進センターの復興水産販路回復アドバイザー4人が事前から支援に入り、商談に向けた実践的な指導にあたってきた。
バイヤー側は、県内をはじめ、宮城、東京、千葉、神奈川から参加。通販会社や百貨店、外食産業などの担当者らが集まった。
オープニングセレモニーでは、大船渡商工会議所の齊藤俊明会頭が「出展者の皆さんには、商談会はもちろん、商品開発やブランド力の問題解決の糸口にしてほしい。バイヤーの皆さんには、この機会に三陸の素晴らしい商品を利用してもらいたい。有意義で実りある商談会となるよう願う」とあいさつ。続いて、出展者らがブースを設けて自社商品をPRする展示商談会に入った。
各出展者らは、地域の恵みを生かした自社製品を並べ、バイヤーらにアピール。パネルやのぼり旗を活用してレイアウトを工夫したり、試食、試飲を用意して提供するなど、商品の魅力を分かりやすく伝えた。
バイヤーらも説明に耳を傾け、質問も交えながら出展者とやりとり。価格設定やパッケージなどへのアドバイスも送っていた。
個別商談会は、各バイヤーのブースに出展者らが足を運ぶ「逆見本市」形式で実施。事務局側が事前にバイヤーと出展者の希望を聞き、マッチングが図られた。
主催者側によると、昨年の商談成約数は20件で、成約率は14・4%。出展者らは商談成立を目指し、自社商品を積極的に売り込んでいた。
今回初出展となった末崎町の海藻加工販売卸・シダ商店(志田保代表)では、三陸産コンブを使った商品を展示。志田保春工場長(38)は「バイヤーの方々の話から自社の課題が分かり、今後への改善点になった。商品の味にはお褒めの言葉もあり、自信になっている。いただいたアドバイスも参考にしながら、うまく販路拡大につなげられれば」と話していた。
仙台商議所中小企業支援部の伊藤亨課長(42)は「大船渡は周辺地域と連携しており、その結束力と出展者の熱意はすごい。展示や声がけも年々良くなっており、販路を広げていく可能性がある。こうした機会を生かし、成長していけるようになれば」と期待を寄せていた。