地域の復興と発展支える、第1期生の11人が修了/大船渡ビジネスアカデミー(別写真あり)

▲ 大船渡ビジネスアカデミーが閉講し、第1期生11人が修了=大船渡市魚市場

 大船渡商工会議所(齊藤俊明会頭)主催の「大船渡ビジネスアカデミー」は10日、大船渡市大船渡町の市魚市場で発表会と閉講式が開かれた。6月の開講から5カ月間、専門家から経済人としての学びを深めてきた受講生11人。東日本大震災から6年8カ月を前にしたこの日、学習成果として自らの経営の方針や計画を発表し、この実現はもちろん、地域や自社の復興、発展に向けてまい進していくと誓いを新たにした。

 

経済人としての誓い新た、きょう震災から6年8カ月

 

 同市内では震災後、経済同友会などによる東北未来創造イニシアティブの提案を受け、気仙、釜石、気仙沼各地区の市町や商工団体、金融機関などが連携し、「人材育成道場・未来創造塾」を開設。経営者や地域リーダーを育成してきたが、平成28年度で終了した。
 ビジネスアカデミーはこのような動きも受け、震災後の常に変化し続ける市場環境に適応するとともに、将来における地域経済の活性化を担う経営人材を育成しようと、大船渡商議所が本年度新たに開設。大船渡青年会議所が共催した。
 第1期生として、地元中小企業の経営者や後継者、幹部候補者ら11人が受講。これまで地元学や経営計画など全6回(合計54時間)の講座に臨み、さらにグループメンタリング(個別支援相談)、課題の提出など約100時間にわたる学びを深め、自らの経営のあり方を探り、ビジョンを見いだしてきた。
 最終日の発表会と閉講式には、受講生をはじめ来賓、講師陣、関係者ら75人が出席。齊藤会頭は「これから経営の方針と計画を発表してもらうが、アカデミーの成果としてだけではなく、自社の課題解決に生かされ、成長促進、地域経済のけん引につながると大いに期待している」とあいさつ。来賓代表の戸田公明市長が、受講生らの飛躍を祈念しながら祝辞を贈った。
 受講生は、一人ずつ経営方針を発表。代表者4人は自らの経営計画も紹介した。
 受講生らは自らと自社、顧客、地域とのかかわり、経営課題、消費者のニーズなどを見つめ直し、すべきことを検討したうえで設定した自らのプラン、決意を堂々と述べた。震災で被災した社屋や地域への思いを交えたり、復興特需後の経済、地域振興を見据えた考えを示す人もあった。
 発表後は、齊藤会頭が受講生一人一人に修了証書を授与。修了生を代表し、水野伸昭さん(水野石油㈱代表取締役社長)が「これまで講師の方々、会議所、市役所の皆さまには大変お世話になった。受講生の皆さん、5カ月も一緒に勉強してきたのも何かの縁。これからも協力して頑張って、地域を盛り上げていければ」と感謝を込めてあいさつした。
 講師を務めた有限責任監査法人トーマツの森川祐亨パートナー、㈱日本政策投資銀行東北支店の金内雅人東北復興・成長サポート室長は、修了生らをねぎらい、さらなる成長に期待を込めて講評。
 最後に、東北未来創造イニシアティブ人材育成道場未来創造塾スーパーバイザーであるトーマツの谷藤雅俊執行役が「やるかやらないかで考え、つながりながら笑顔を増やし、知恵やネットワークを借りて巻き込みながら成長を」とエールを送った。
 修了生らはこれまでの学びを胸に、自身の計画実践を約束。経済人として地域貢献、復興の力になっていくと気を引き締めていた。