総着工は前年比でほぼ半減、佳境迎える気仙の住まいの復興/第1~3四半期
平成29年11月12日付 2面

平成29年第1~3・四半期(1~9月)までの気仙3市町の新設住宅着工戸数が、11日までに明らかになった。気仙全体の総着工は前年同期比52・6%(275戸)減の248戸とほぼ半減した。前年はこの時期までに、陸前高田市内で3棟の災害公営住宅が着工していたことが減少の要因となっているが、持家・一戸建住宅の着工数も同34・5%(114戸)減の216戸にとどまっている。これら〝復興需要〟の落ち着きは、気仙両市で官民が進めてきた住まいの再建が佳境を迎えている証しでもある。
国土交通省が発表した29年1~9月の新設住宅着工戸数の総数は、大船渡市が同31・5%(58戸)減の126戸、陸前高田市が同66・0%(221戸)減の114戸、住田町が同100%(4戸)増の8戸だった。
持家・一戸建に限ると、大船渡市が同31・2%(43戸)減の95戸、陸前高田市が同39・9%(75戸)減の113戸、住田町が同100%(4戸)増の8戸となっている。
両市とも持家・一戸建需要が退潮傾向にあるほか、陸前高田市では前年に災害公営住宅3棟134戸が着工していたことも総着工数大幅減の要因となっている。
ただ、大船渡では大船渡駅周辺の、陸前高田市では高田、今泉両地区の土地区画整理事業で宅地造成が進められている。一部地区では宅地の引き渡しが始まっているところもあり、一定の着工数が見込める材料は残っている。
これら着工数の減少は、住まいの再建が着実に進んでいることを裏付けているが、需要のピークが過ぎ、着工数が大幅に前年割れしている現状は住宅会社にとって〝逆風〟。以前から予測されていたことではあるが、住宅会社の経営戦略が問われる時期に突入しているといえそうだ。
気仙3市町の住宅着工を資金別にみると、民間資金が220戸、住宅金融支援機構による融資が4戸、その他が24戸。民間の金融機関から融資を受けて着工した住宅が9割近くに上っている。
1~9月までの県内の新設住宅着工戸数は前年同期比7・4%(445戸)減の5583戸。大槌町が前年同期より100戸以上増加しているのに対し、釜石、宮古両市が3割以上の落ち込みとなっており、沿岸の被災地では復興の進ちょく状況が着工数に反映される状況が続いている。