地域ニュースは浸透、開局10年を前に住民アンケート/住田テレビ

行政情報発信に課題も

「クロスメディア」も着手

 

 住田町は、来年で開局10年を迎える住田テレビについて住民の視聴実態を把握しようとアンケート調査を実施し、結果をまとめた。町内ほとんどの世帯・事業者が視聴できる体制が整っている中、地域ニュースを伝える番組は多くの住民が視聴。一方で、行政情報の発信のあり方などでは工夫・改善が求められる実情が浮かび上がった。本年度は町ホームページとの連動など新たな取り組みにも挑戦しており、さらなる充実が期待される。

 

 町は平成19年度、テレビ地上波デジタル化対応をはじめ総合的な情報過疎解消を目指そうと、地域情報通信基盤整備事業に着手。国などの補助を受けながら総事業費約10億円を投じ、町内ほぼ全域に光ファイバー網を張り巡らせた。
 事業の一環で、20年3月に住田テレビが開局。遠野市の第三セクター・遠野テレビと連携して加入者にテレビ放送を提供するほか、身近な地域の話題を伝える番組も制作している。また、高速インターネットや防災告知受信といったサービスも展開してきた。
 来年開局10年を迎える中、町は視聴実態や番組内容などの住民理解を把握しようと、7~8月にアンケート調査を実施。町民10~80代の383人から回答を得た。
 住田テレビによる独自番組の中で現在、大きな柱となっているのは「すみたホットライン」。町内のさまざまなイベントや出来事を伝える番組で、ニュース内容は毎週2回更新。30分番組で、午前7時や正午、午後6時など毎日9回放送している。
 視聴頻度を尋ねたところ「週5日以上」が9%、「週1~4日程度」が49%と、半数を超える住民が毎週住田テレビで発信する情報にふれている現状が明らかに。特に30代は7割が毎週1回以上は視聴しているとの結果が出た。
 一方、町政番組は「週5日以上」「週1~4日」を合わせても19%にとどまった。行政が進めている施策や事業内容、各種補助制度を住民に届ける役割としては課題が浮き彫りとなった。今後は「すみたホットライン」と連動した発信など、さらなる検討・工夫が求められる。
 住田テレビではこのほか、町民スタッフによる手づくり番組や、小中学校卒業式や夏まつりなどを伝える特別番組、町内の慶弔情報も随時紹介。視聴時間帯は「夜」と答えた割合が57%と最も多く、帰宅後から就寝前までの間に視聴されている実態も分かった。
 興味がある番組について複数回答で聞いたところ「イベント関係」が202件と、回答の過半数を超えた。次いで保育園、小、中各学校での行事などへの興味が高い傾向が分かった。
 自由記載とした「どのような番組があったらいいか」の問いでは、地元に根ざした情報や歴史、文化の掘り起こしにつながる番組づくりに加え「県や近隣市の情報をどんどん流す番組」との希望も。健康や料理分野の要望も高かった。
 意見、要望では「撮影や編集が以前に比べて良くなった」「家にいる時間が長い高齢者には、大きな情報源となっている」と、今後に期待を寄せるコメントが目立った。一方で「同じ番組が繰り返し放送されている」との指摘や、災害時の詳しい情報、医療機関の診察状況、バスをはじめとした交通情報などを求める意見もあった。
 本年度、新たな取り組みとして「クロスメディア」にも着手。「住田鶏ハラミと行者ニンニクのアヒージョ」「アスパラガスのレモンポークロール」など、住田テレビ内で紹介した料理メニューが町ホームページからも視聴できる。
 さまざまな地域メディアと連携した取り組みが広がるかなど、節目を機としたさらなる動きが注目される。町企画財政課では「今回の調査結果をもとに、より良い番組制作を目指したい」としている。
 主な質問項目の結果は別表の通り。