個々が高台とルート確認、市内で津波避難訓練/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ たまたま同市に滞在していた外国人を含め、中心市街地にいた人たちが本丸公園へ避難した=高田町

 陸前高田市は12日、東日本大震災の浸水地域を対象とし、市内で津波避難訓練を行った。避難対象人数の1049人を大きく上回るおよそ2000人が参加し、最寄りの高台と避難ルートを確認。今年の春から高田町のかさ上げ地に新しい中心市街地が形成され始めているため、同エリアの商業者らも6年8カ月前の悲劇を繰り返さないよう、声を掛け合って素早く緊急避難場所を目指した。

 

東日本大震災クラスを想定

 

 訓練は午前10時30分にマグニチュード(M)9・0、震度6弱と東日本大震災クラスの大地震が発生し、大津波警報(巨大)を発表したとの想定で実施。行政無線や携帯電話のエリアメールなどで、沿岸地域に避難指示が出された。
 対象区域は、平成23年の大津波で被災した広田町、小友町、米崎町、高田町、気仙町、竹駒町、矢作町の下矢作地区。津波到達予想時刻は午前11時で、30分弱の間に安全な場所へ逃れるため、警報発表後は住民たちがすみやかに避難を開始した。
 市によると、今回の参加者は約2000人。市は「より近くに安全な高台がある場合は、各自の判断でそこへ避難を」と周知していることから、市内に142カ所ある緊急避難場所以外の場所や、災害公営住宅の高層階へ向かった市民もみられた。
 このうち、中心市街地から最も近い高台となる高田町の本丸公園には、アバッセたかたや周辺の個店の事業者、まちなか広場の利用者らおよそ50人が避難。参加者は午前11時4分の避難指示解除ののち、震災犠牲者への黙とうをささげ、二度と犠牲者を出さないまちをつくるという誓いを新たにした。
 広田町の村上一朗さん(36)は、2歳と4歳の子どもたちとともに同公園へ避難。まちなか広場で遊んでいたところ訓練が始まったといい、そのまま参加した。「避難場所がわかっていれば、町外へ遊びに来ていても安心。子どもたちには『警報が鳴ったらすぐ逃げろ』ということを伝えていくしかない」と話していた。