分署整備、昭和橋など議論、学識経験者と意見交換/住田町地域デザイン会議

▲ 8月以来の開催となったデザイン会議=世田米

 住田町地域デザイン会議は13日、町農林会館で開かれた。調和がとれた魅力ある公共施設整備などを目指して庁内職員や学識経験者が横断的に集まり、各課が抱える町政課題を議論。この日は年度内完成を目指す大船渡消防署住田分署の外構整備や、昭和橋架け替えなどについて意見が交わされた。
 町は昨年度、移転新築を進める住田分署の設計に合わせ、周辺部の景観も意識した会議を開催。職員らは世田米商店街周辺を巡る「まち歩き」も行い、藩政時代からの歴史がある建物や自然風景を生かした公共整備の方向性を探ってきた。
 今後周辺で施工されるハード事業に向けては、構想段階から役場内部で情報共有を密にし、有識者のアドバイスも交えて総合的な観点で検討する重要性が浮き彫りとなり、本年度に入って新たな会議を設置。8月以来、2回目の開催となった。
 委員のうち、学識経験者は大月敏雄氏(東京大学大学院工学系建築学専攻教授)藤田香織氏(同准教授)柴田久氏(福岡大学工学部社会デザイン工学科教授)南雲勝志氏(ナグモデザイン事務所代表)の4人。町側からは総務、企画財政、町民生活、保健福祉、農政、林政、建設各課や教育委員会の職員、気仙川の治水対策を担当する県住田整備事務所職員らを含め、約20人が出席した。
 住田分署は役場向かいに位置する町運動公園野球場隣接地で新築整備が進む。設計監理者である株式会社・SALHAUS一級建築事務所=本社・東京都=の安原幹代表取締役は、現在は木軸工事が順調に進むなど、来年3月竣工に向けた整備状況を示した。
 さらに外構デザインの検討状況も説明。操法競技会場としても活用できる駐車場を囲む形で、ランニングコースや段差状の芝生面などを設ける構造を目指すほか、植樹も進める。
 治水対策による昭和橋架け替えに向けた動きに関しては、県沿岸広域振興局土木部大船渡土木センター住田整備事務所の加藤伸三所長らが報告。昭和橋は地域住民から、歩道設置や2車線化を望む声が寄せられる。また、前回会議では、古里らしいたたずまいなど、歴史的資源としての重要性が浮かび上がった。
 報告によると、県は橋梁予備設計業務を発注。気仙地区初という簡易総合評価落札方式を導入し、周辺環境を考慮した構造や工法上の着目点も評価項目に取り入れた。大日本コンサルタント㈱=東京都=が受注し、契約は現段階で来年3月までとなっている。
 事業スケジュール案では今後、景観等デザイン検討委員会(仮称)を設けたい考え。議論経過や県と町で費用負担協定締結に向けた調整・協議をふまえ、詳細設計業務を発注する。県側では工事期間は明言しなかったが、平成32年度までとなっている国の社会資本整備総合交付金を活用したい意向を示した。
 委員の一人は「橋はもちろん大事だが、景観を考えれば護岸整備がどうなるかも重要」と指摘。すでに予備設計業務に入った中、デザイン検討委員会での協議事項をはじめ、橋のあり方に関する合意形成をどう進めるかに関しては、厳しい意見も寄せられた。
 これに対して加藤所長は「合意形成のプロセスはわれわれも大事だととらえている。どういうステップが良いかは慎重に進めていきたい。スケジュールありきでは進めず、合意形成には時間をかけて設計をまとめたい」と答えた。