被災跡地利活用も徐々に、大船渡市復興計画スケジュール更新/9月末現在の進ちょく

▲ 大船渡市は9月末現在の復興計画事業スケジュールを公表(写真は末崎町小河原地区の産業用地整備事業、9月6日撮影)

 大船渡市は13日、9月末現在の市復興計画主要事業スケジュールを公表した。防災集団移転促進事業(防集)の住宅分366戸全てで造成が完了するなど着実な進展があった一方、漁港関係施設などでは完了時期が最長で2年9カ月延伸となる事業も出ている。被災跡地の利活用では、新たに産業用地や広場の整備など徐々に事業着手をしており、赤崎地区では野球場整備に向けた庁内検討を開始するなどの動きが見られている。

 

 復興計画主要事業スケジュールは、市が復興計画の中から住宅再建やなりわい再生関連といった市民の関心が高いものを抽出して作成。平成28年度からは9月末、3月末時点で更新、公表している。
 前回作成時(3月末)からの主な変更点を見ると、大船渡町のJR大船渡駅周辺地区で進む土地区画整理事業は、大船渡公園の整備事業を追加。本年度は基本設計と詳細設計を行い、30年度に整備工事を計画する。
 追記された産業用地整備事業は、末崎町小河原の被災跡地を活用し、企業誘致を行う産業用地(約3・2㌶)を整備するもの。工事は年内の完了を予定する。
 広場整備事業は、三陸町越喜来の浦浜地区で被災跡地(2400平方㍍)を利用し、トイレやあずまや、ベンチ、水飲み場などを整備。現在は測量設計を終え、工事の準備を進めている。
 防集は、赤崎町中赤崎地区の森っこ(34戸)と洞川原(3戸)の造成工事が終わり、市内21地区合わせて366戸分全てで完了。公益的施設用地となる中赤崎地区のお子守様では、造成工事が行われている。
 公立社会教育施設復旧事業では、末崎町の市営球場で仮設住宅撤去後のグラウンド復旧工事と並行し、観客席等を改修する。
 漁港関係施設等復旧事業のうち、被災した岸壁や臨港道路などの復旧工事は、新たに三陸町吉浜の増舘漁港が完了。一方、千歳漁港は悪天候などの影響で工期が3カ月延びた。
 防潮堤などの復旧では、県事業である三陸町越喜来の崎浜と越喜来各漁港海岸で1年9カ月、末崎町の門の浜漁港海岸で2年9カ月工期を延伸。海岸保全施設復旧・整備事業では、県が行う須崎川、後の入川の水門整備工事、野々田地区海岸と大船渡港海岸の防潮堤工事で、それぞれ2年先延ばしとなった。
 道路新設・改良事業では、県事業の県道崎浜港線(三陸町越喜来)と主要地方道大船渡綾里三陸線(同)が完了。同線(赤崎町)、主要地方道大船渡広田陸前高田線(末崎町)、県道碁石海岸線(同)は2年延び、県道丸森権現堂線(下船渡地区)とともに32年度末の完了となる予定。
 市事業では吉浜漁港線が完了。追記事業のうち、道路改良(細浦地区)、市道開墾線道路改良(綾里地区)、浦浜川東側添線道路改良(浦浜地区)は30年度、道路新設・改良(中赤崎地区)は31年度の供用開始を予定する。市道甫嶺横断線道路新設改良(甫嶺地区)は、32年度後期の完了を見込む。
 コミュニティ消防センター新築事業は、6分団1部(赤崎町永浜)が完成し、使用を開始。4分団4部(末崎町小中井)は4カ月延びて30年度、11分団6部(三陸町越喜来崎浜)は6カ月の延伸で同年度10月の使用開始となる見通し。
 被災跡地の利活用に向け、今後事業化を検討する事業の進ちょくも公表。このうち、細浦(末崎町)、綾里、浦浜・泊(越喜来)の各地区では、被災跡地利活用候補地にかかる事業者等を募集している。
 細浦地区のコミュニティ広場整備は、本年度内に設計まで進める計画。峰岸の防集団地から新県道への接続道(市道)を整備する事業では、復興交付金の活用見通しが立った段階となっている。
 泊里・碁石地区(末崎町)の浜の暮らし体験ゾーン・駐車場の整備は、県事業で発生する残土を活用する事業。地元では、整備後の活用を検討している。
 綾里地区の緑化広場の整備は、地元の復興委員会で小規模なものとしての整備が了承を得たことから、今後ワークショップなどで内容を詰めていく。市道港黒土田線道路改良事業は、防潮堤整備との調整を図りながら、水産施設用地に合わせたかさ上げを検討する。
 中赤崎地区では、総合公園計画の見直しや市営球場の老朽化、赤崎地区からの要望などを踏まえ、野球場整備に向けた庁内検討を開始。県内の先進地視察、関係業者からの資料収集、施設の規模や財源確保の検討などを進め、実現に向けた可能性を探っている。
 戸田公明市長は財政面での課題なども踏まえ、「赤崎地区に整備する方針で、前向きに検討していく」との考えを示した。