「まちゼミ」市街地でも続々、18日から市内17店舗でスタート/陸前高田(別写真あり)

▲ 店が持つ技術や知識を伝えるミニ講座を17店舗で実施=高田町

 陸前高田市の商工業者らが〝講師〟を務め、プロの技を無料で教える「まちゼミ」は、18日(土)~12月17日(日)の約1カ月にわたり、市内17店舗で行われる。昨年から始まり、3回目の実施となる今回は、高田町の新しい中心市街地に本設再建された個店でも初実施。住民の間にも少しずつまちゼミの認知が広がり、開催を楽しみにする人も増えている。参加事業者にとっては、普段あまり接することがない客にも、店の雰囲気や取扱商品などを知ってもらう機会となっており、地道な取り組みを市内全体のにぎわい創出につなげようと、さまざまな体験を用意している。

 

初めてまちなかの個店でも

 

 全国約260の地域で実施実績がある「まちゼミ」は、店主や従業員が講師となり、商売に基づく知識や技術を客に伝える〝ミニ講座〟。客は少人数の講座でプロの技を教えてもらえるうえ、店側は顧客の信頼獲得・新規開拓につなげることができる。
 同市では、商工業の本格復興を目指し、昨年11月に第1回がスタート。「陸前高田まちなか未来プロジェクトグループ」(小笠原修代表)が、陸前高田商工会(伊東孝会長)の協力を仰ぎながら事業者への周知を図り、「仮設店舗等で実施される全国でも初のまちゼミ」として全23講座が行われた。
 参加した受講者からのアンケートでは、初回にもかかわらず「大満足」「満足」と回答した人の割合が98%にのぼった。まちゼミは「受講料無料」「販売・勧誘一切なし」を大原則としているが、開催後に「受講した店を利用するようになった」という人も多い。
 今年6月には第2回を実施。中心市街地に4月、大型商業施設「アバッセたかた」がオープンしたことにより、初めて「仮設から再建した店舗」での講座も実現した。
 今回はさらに、アバッセ周辺にオープンした個店5店と、10月に開設された交流施設「ほんまるの家」でも初開催。〝まちなか〟へ足を運ぶきっかけをつくり、それぞれの店を盛り立て合うものとして期待が寄せられている。
 このうち、10月に一斉開業した「まちなかテラス」の中にある酒と器・和雑貨の店「いわ井」(磐井正篤社長)は、同町の仮設店舗で営業していたときから、まちゼミに参加。風呂敷を使ったラッピング講座が毎回好評を博している。
 〝講師〟を務める磐井政江さんは、「参加された方には、『もし、あとになってわからないことがあったら、いつでも聞きにきてくださいね』と伝えている。やってみて、お客さんとの距離がすごく近づいたなと思う。すぐ商売にはつながらなくても、気軽に店へ立ち寄ってもらえるような関係性を築けるのがよいところでは」と、過去2回を振り返る。
 また、参加事業者らの経営意識や努力を知ることができるのも「意外な利点だった」と磐井さん。まちゼミ参加を通じて〝一緒に商工業を盛り上げていこう〟という結束感が強まっていることを実感している。
 今回は、高田町、竹駒町、米崎町の全17店舗が「つくる」「学ぶ」「健康・美容」の19講座を実施。「つくる」ではクッキー、ドリップコーヒー講座、ミニ畳制作、家紋づくりのほか、クリスマスリースやしめ縄飾りなど、季節感ある体験が開かれる。
 「学ぶ」では習字や包丁とぎ、タイヤ診断、ぴったりの靴の探し方などを、「健康・美容」では、フィットネス、耳つぼ、若返りマッサージなどの講座を用意。
 内容の詳細や開催日などを一覧にしたチラシは各店舗と陸前高田商工会にあるほか、まちゼミのサイト(https://rt-machizemi.jimdo.com/)からもダウンロードできる。