非常食キット販売へ、 一般社団法人かたつむりが被災経験もとに開発/大船渡市

▲ 完成した非常食キットと、梱包を担当する@かたつむりの利用者

 大船渡市の非営利型一般社団法人・かたつむり(吉田定代表理事)は、北上市の障害者支援団体とともに備蓄用非常食キット「逃げた先にある安心」の予約受け付けを開始した。同法人の職員らが東日本大震災の被災経験をもとに開発したもので、5年間保存可能な米と塩、水をひとつのパッケージにまとめた。「軽く、かさばらず、持ち運びやすい」と実用性を重視した商品は、本年度のグッドデザイン賞も受賞。新しい非常食の形として、広く普及していくものと期待されている。

 

グッドデザイン賞も受賞

 

 非常食キットは、一度炊いたご飯を乾燥させた「アルファ化米」や「水」「塩」、「発熱材・加熱袋」「スプーン」をセットにしたもの。発熱材で水を沸騰させることができ、15分ほどで炊きたてさながらの温かいご飯を作れる。
 発案したのは、障害者就労継続支援B型事業所・@(あっと)かたつむりを運営する同法人の職員ら。「救援物資が届くまでの非常時、寒さと空腹で不安を募らせていた避難者に温かい食料を配ることができていれば、避難所でのトラブルを減らせたのでは」という思いをもとに、4年ほど前から構想を練ってきた。
 北上市で同事業所・北上アビリティーセンターを運営する社会福祉法人・自立更生会もこの案に賛同し、パッケージデザインなどで協力。「軽く、かさばらず、持ち運びやすい」と実用性を重視し、必要最低限のものをまとめて、今回の商品が誕生した。
 原材料は、陸前高田市産米「たかたのゆめ」、野田村の特産品「のだ塩」、青森県・白神山地の水と、東北産のものを使用。@かたつむりの大西智史所長は「今後、地場産品を使った同様のパッケージが各地で販売され、全国的に防災意識が高まるきっかけになれば」と展望を語る。
 また、梱包(こんぽう)の取っ手付きの段ボール箱は、歯ブラシなど小物の収納や持ち運び、はしを置く場所の確保などに再利用でき、避難所での衛生面をフォロー。青色のデザインには「心を落ち着かせる」「津波を忘れない」などの思いがこめられた。
 キットは、生活や産業、社会全体を豊かなものへと導く「よいデザイン」を顕彰する「グッドデザイン賞」(日本デザイン振興会主催)を受賞。小さなパッケージに凝縮された開発関係者の思いが、高い評価を得た。
 大西所長は「コンパクトサイズなので、狭い場所や車の中などにも保管できる。逃げた先に温かいご飯があれば、緊張した人の心を和らげ、新しいアイデアを生む一助にもなる」と語る。「〝最低限〟をシンプルにまとめたこの商品が、新しい非常食の形として広く普及していけば」と願っていた。
 取っ手付きパッケージは、1人用(幅15㌢、高さ22㌢、奥行き8㌢)が1300円、2人用(幅20㌢、高さ22㌢、奥行き8㌢)が2000円。取っ手のない1人用のパッケージも1100円で販売する。
 賞味期限確保のため、販売は完全予約制。@かたつむりが梱包を行い、年内に3回出荷する。初回の出荷日は来年3月11日(日)。
 商品の予約、問い合わせは、県社会福祉協議会(℡019・601・7027)または@かたつむり(℡26・2134)へ。