〝少数精鋭〟で製鉄挑戦、有小5年生が「たたら」作業/住田町(別写真あり)

▲ 高温の炉に石炭などを投入する児童=上有住

 住田町立有住小学校(都澤宏典校長)の5年生5人は16日、同校に隣接する民俗資料館前で「たたら製鉄」体験を行った。今年は同級生の人数が少なく、例年よりも児童一人の作業量は増加したが、1000度超に熱した炉の中に鉄鉱石や木炭などを入れ続け、先人が残した産業の奥深さを肌で感じ取った。
 5年生は「住田の森林のおくりもの〜栗木鉄山物語〜」として、地元でかつて盛んに行われていた製鉄や各種産業を支える森林資源について学習。住田テレビの協力を得ながら番組制作に向けた取材、撮影方法の指導も受け、視聴者に分かりやすく伝える工夫などを学ぶ取り組みも進めている。
 たたら製鉄は、木炭の燃焼熱で「餅鉄(もちてつ)」などと呼ばれる鉄鉱石から還元する製造法。動力エネルギーとして当時地域で生産されていた木炭を活用し、昔ながらの製鉄法に迫った。
 指導役を務めたのは、町文化財調査委員の内海行英さん(64)。前日に組み立てられた高さ約1㍍20㌢に及ぶレンガ積みの炉を使い、細かく砕いた鉄鉱石や炭、消石灰を入れ続けた。
 炉では3時間以上かけ、鉄鉱石500㌘、木炭1㌔、消石灰50㌘を7〜8分間隔で投入しなければならない。木炭を切り分け、鉄鉱石や消石灰を入れる作業は、児童たちの中で役割分担。さらに製鉄作業と同時進行でテレビカメラを回し、一連の流れを収録した。
 作業にあたった5年生の平澤悠菜さん(10)は「炉のそばでの作業はとても熱かったけど、立派な鉄ができてほしいと願いを込めながら石炭などを入れた」と話し、笑顔を見せていた。
 21日(火)には鍛冶体験を予定。たたら製鉄で実際にできた「けら」を用いて、鉄製品製作に挑戦する。
 さらに22日(水)には世田米の栗木鉄山を訪ね、高炉跡などの見学を通して明治〜大正に営まれていた産業について学ぶことにしている。