全国技能五輪に出場へ、吉田建設の熊谷さん(陸前高田)
平成29年11月18日付 7面

栃木県で24日(金)〜27日(月)に開かれる「第55回技能五輪全国大会」(厚労省など主催)の建築大工職種に、陸前高田市竹駒町の㈱吉田建設(吉田光伸代表取締役)に勤める熊谷朋哉さん(21)=米崎町=が出場する。青年の技能レベルの日本一を競う大舞台で、気仙地区からは唯一の出場者。大会まで1週間を切り、上位入賞を目指して連日練習に取り組んでいる。
大舞台での健闘誓う、24日から栃木県で
同大会は、青年技能者に努力目標を与えるとともに、技能尊重機運の醸成を図ることを目的に毎年各都道府県持ち回りで開かれている。
対象は原則23歳以下の若者。競技は▽機械組立て▽左官▽美容▽西洋料理▽造園▽レストランサービス▽ITネットワークシステム管理──など計42職種で、全国から1337人が出場する。
このうち、建築大工は95人で競い合う。日程は25、26の2日間で、競技時間は12時間。作製課題は住宅屋根部分の骨組み「柱建て小屋組」(高さ約1㍍、長さ約70㌢、奥行き約50㌢)。▽現寸図作成▽木削り▽墨付け▽加工▽組立て──などを審査する。
熊谷さんが大工の道を志したきっかけは、中学2年生の時に経験した東日本大震災。津波で自宅を流され、仮設住宅で暮らす友人らの姿を見て、「家を建てる仕事に就いて復興の力になりたい」という思いを募らせた。
高田高を卒業後、県立産業技術短期大建築科に進学。今年4月に地元の吉田建設に入社し、大工見習いとして住宅建設の現場に出て〝修業〟している。
技能五輪出場の知らせを受けたのは6月ごろ。同短期大卒業前の今年2月に受験した技能検定で高い技術が評価され、県代表として臨むこととなった。
現場の仕事を10月から休み、会社の加工場や同短期大で練習開始。練習で使う木材の購入費は吉田建設が負担するなどサポートも受け、腕を磨いている。
かんなで部材を削る工程はミリ単位の正確さが求められ、ノコギリや鑿(のみ)を使った加工は4時間ほどかかり、体力と集中力がいる。朝から晩まで地道な練習漬けの日々を送るが、「怠けず、自分に打ち勝つ」と常に自らを律する。
目指すは上位入賞。「誰でも出られる大会ではないので光栄なこと。全国から集まる技能者の技術を直接見て、感じることができるのは楽しみ」とはにかみ、「会社の期待に応えるためにも頑張ります」と健闘を誓う。